投資の回収

  • Q&Aの内容は、作成日時点の情報に基づき正確を期するようにしておりますが、最新の法令、判例等との一致を保証するものではございません。また、具体的な案件を想定して作成しておりませんので、個別の案件につきましては専門家にご相談下さい。

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Q00114 投資先の会社による株式の買取りに関して、買取価格を投資先の会社との協議で決めることにした場合、何か問題はあるでしょうか。

協議で決めるという規定は、契約書においてしばしばみられる規定です。しかし、協議が調わなかった場合、その効果が定められていないと、当該協議に基づくとされている事項についての権利を行使できない可能性が高いと考えられます。質問のケースでも、投資先の会社との間で、買取価格の協議が調わなかった場合、買取請求権を行使できない可能性があります。したがって、株式の買取価格を協議で決めるとした場合、協議が調わなかった場合に株式の買取価格がどのように決まるのかについても定めておいた方がよいと考えられます。
(作成日:2012年1月27日)

Q00142 ファンドの満期との関係で、一定時期までに株式公開しなかった場合に株式の買取を投資先の会社に義務付けることは可能でしょうか。

一定時期までの株式公開を投資先の会社が実現できなかった場合に会社に株式の買取を義務付けることは可能です。具体的には、投資先の会社との間で締結する投資契約等に、このような株式公開の義務と違反した場合の株式買取義務を定めることになります。但し、株式公開までの期間について、あまりにも不合理な期間を定めた場合、投資先の会社から権利濫用や信義則違反である旨の主張を受けて当該規定が無効とされる可能性があり、またそのような契約内容を強いることはレピュテーション低下の問題もはらむため、株式公開までの期間については、合理性のある期間を定めた方がよいと考えます。
(作成日:2012年1月27日)

Q00138 投資先の会社が粉飾決算や法令違反行為をしている場合に、それを理由に株式の買取を請求することができるでしょうか。

投資先の会社に対して株式の買取を請求するためには、当該会社との間で株式の買取について合意をしておく必要があります。通常は、投資契約において株式買取請求権として定められているケースが一般的ですが、この場合、粉飾決算や法令違反行為が買取事由として定められていれば、株式買取請求権を行使することが可能です。株式買取請求権の行使事由として、粉飾決算や法令違反行為を具体的に定めていない場合であっても、投資契約において会社に適正な決算や法令遵守の義務を課している場合において、投資契約違反が行使事由となっていれば、当該行使事由への該当を理由に買取請求権を行使することが可能となります。但し、発行会社自体に対する買取請求については、発行会社による自己株式の取得となるため、会社法上の財源規制や手続規制を受けることになります。また、軽微な決算の誤りや法令違反の場合には、買取請求権の行使が権利濫用として制限される可能性もあると考えられます。
(作成日:2012年1月27日)

Q00139 投資先に表明保証違反があったことが発覚しました。表明保証違反を理由に損害賠償を請求することはできるでしょうか。

表明保証違反については、その法的性質に争いがあります。代表的な考え方として、債務不履行責任と捉える考え方と特約に基づく担保責任の一種と捉える考え方があります。このうち、債務不履行責任という考え方を前提とすると、契約において特別の定めがなくとも表明保証違反を理由に損害賠償を請求できるという考え方に結びつきやすくなります。他方、特約に基づく担保責任の一種という考え方を前提とすると、契約において特別の定めがなければ表明保証違反があっても損害賠償を請求できないという考え方に結びつきやすくなります。表明保証違反の法的性質については、法律に定めがあるものではなく、また確定的な見解が存在しているものでもありませんので、どのような考え方になっても対応できるよう、契約において表明保証違反があった場合の効果(解除や損害賠償等)を明確に定めておいた方がよいと考えます。
(作成日:2012年1月27日)

Q00140 投資先と事前協議をすることになっていた事項について、投資先が協議をしただけで何も決まっていないのに勝手に事前協議事項を実行しています。これは事前協議の約束違反でしょうか。

協議事項については、契約で協議をする旨のみが定められ、当事者間の合意を要する旨が明確に定められていない場合、協議さえすれば協議が調っていなくとも当事者は協議事項について実行可能と解釈する余地があり、必ずしも事前協議の契約違反とは評価されない場合がありえます。従って、契約で協議をする旨を定める場合は、併せて当事者間の合意を要する旨も定めておいた方がよいと考えます。
(作成日:2012年1月27日)

Q00141 会社があるVCから自己株式を買い取る場合、会社法上、どのような手続や制約がありますか。

会社が特定の株主から自己株式を取得する場合、取得する株式の種類及び数、株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容及びその総額、株式を取得することができる期間、当該特定の株主に対する通知等について、原則として株主総会での特別決議を得る必要があります(会社法第156条、第160条第1項、第309条第2項第2号)。また、かかる決議にあたっては、当該特定の株主以外の株主に自己を売主に追加することを請求する権利が生じ、かかる株主に対して、かかる請求をなし得る旨を通知しなければなりません(会社法第160条第2項)。さらに、自己株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の総額について、取得の効力が生ずる日における分配可能額を超えてはならないという制限があります(会社法第461条第1項第2号)。自己株式の取得については、会社法上、このような手続規制と財源規制があることに注意が必要です。
(作成日:2012年1月27日)

Q00136 投資先の全株式の買収の話がありますが、少数派の株主が反対していて実行できません。何か手段はないものでしょうか。

このような場合の典型的な対応方法は、買収企業と投資先との間で株式交換を実施してもらい、100%買収を実現する方法であり、原則として投資先では総会の特別決議があれば実施できます。また、全部取得条項付き種類株式等を利用したスクイーズアウトのスキームによって、少数株主に現金を交付して100%買収を実現することが考えられます。
株式の売買の方法による100%買収については、基本的に全株主の同意が必要です。そのため、このような場合に備えて、予め全株主間で株主間契約を締結し、一定要件を満たす買収提案時には売却義務を負わせる合意(いわゆる共同売却合意)をしておくことが望ましいと考えられます。
なお、2015年5月施行の改正会社法では、大要、持株比率90%以上の株主の請求とこれに対する発行会社の承認によって100%買収を実施できる制度(株式等売渡請求)が新設されましたので、要件を満たす場合にはこの制度も活用可能です。
(作成日:2015年6月30日)

Q00137 投資先が多数株主の意向で他の会社に吸収合併されるようです。当社は優先株を保有していますが、合併によって優先権が失われてしまうのでしょうか。

優先株主に対してどのような合併対価が割り当てられるかは、合併契約の内容によるため、多数株主の意向で決定されることになります。但し、優先権を剥奪するような合併条件の場合には、当該優先株主の種類株主総会の決議が必要となります(会社法第322条)。なお、このような事態を想定し、株主間契約において買収時における優先受領権(買収対価として一定額が優先株主に優先して交付される旨の定め)を合意しておくことが望ましいと考えられます。
(作成日:2012年1月27日)