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取締役が気付かなかった従業員による不祥事によって生じた問題について、取締役は常に監視義務に違反したものとして任務懈怠の責任を負わなければならないのでしょうか。

業務担当取締役は、下位の従業員を監督する責任を負いますが、合理的な権限分配等を定めた監視システムを構築、運用している限り、取締役は個別の業務執行について下位の者を信頼できると解されており(いわゆる信頼の原則)、それでも従業員の行為に気付かなかった場合にはやむを得なかったものとして責任は回避されると考えられます。逆に、そのような監視システムの制定と運用を行っていなかった場合には、そのこと自体から責任を問われる可能性があります。いわゆる内部統制システムとして問題になる点であり、いかに合理的な内部統制を策定するかは取締役の責任の観点からも重要な事項となります。
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