ベンチャーのための著作権入門(引用・検索とは!?)

投稿日:2016/07/21

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お久しぶりです!

弁護士の小鷹です。

私たち、AZXでは、キュレーションメディアやニュースメディアなどのメディアを営むベンチャーも、数多くサポートさせて頂いています。

メディアを営むにあたり、コンテンツを充実させるため、他の人が作成した記事や画像を使用して、自社のメディアに掲載したいという要望は多いと思います。

もっとも、他人のコンテンツを無断で利用することは著作権侵害となってしまう可能性があります。

もちろん、そのコンテンツの権利者から許諾を受けることができるのであれば、そのコンテンツを自社のメディアに掲載することはできますが、ベンチャー、特に創業したてのベンチャーが権利者から都度許諾をとっていくのは、決して簡単なことではありません。

そのようななかで、①「引用元を表示しているので画像を使用しても大丈夫ですよね!?」、②「いわゆる検索エンジンサービスと同じように、画像を使用しているだけなので、問題ないと考えているのですが。」といったご質問、ご相談を受けることが多くあります。

ご指摘の内容も決して的外れなものではないのですが、著作権法上は、いずれのケース(①を「引用」、②を「検索」といいます。)についても、いくつか要件を定めていて、その要件全てを満たしてはじめて、適法にコンテンツを利用できることになっています。

実際の利用形態を伺ってみると、著作権法上の「引用」や「検索」の要件を満たしていないのではないかと思われるケースも少なくありません。

そこで今回は、著作権法上認められている「引用」、「検索」の説明を通じて、「ベンチャーが適法にコンテンツを使用するため」の方法について、見ていきたいと思います。

 

1. 著作権について

まず、簡単に、コンテンツの権利者に認められている権利の内容について、確認しておきましょう。

コンテンツの作成者には、自分のコンテンツをコピーしたり、インターネットを通じて配信したりする権利が認められています。コピーする権利を「複製権」(著作権法21条)、インターネット配信する権利を「公衆送信権」(23条)といいます。

クローリングによりウェブサイトの情報を収集し、自らのサーバーに蓄積することは「複製」(21条、2条1項15号)、②自社メディアの利用者に対してコンテンツを表示することは「公衆送信」(23条、2条1項9号の4)となりますので、権利者の承諾なくこれらの行為を行うことは著作権侵害となってしまう可能性があります。

それでは、どのような場合であれば、権利者の許諾なく、そのコンテンツを適法に利用することができるのでしょうか。

 

2. リンクの設定

まず、自社メディアに、他人のコンテンツへのリンクを貼ることが考えられます。

URL自体はサイトの場所を案内する表示であって、著作物とは言えませんし、リンク元がリンク先の情報を送信しているわけではないことから、リンクを貼ることは原則として著作権侵害とはなりません。

もっとも、リンクボタンにリンク先のURLだけではなく、他人の画像等の著作物を掲載する場合には、著作権侵害となる可能性があります。

また、リンク先のコンテンツをそのまま自社メディアのフレーム内に表示するなど、リンクの方法によっては著作権や著作者人格権の侵害となる可能性がある点には注意する必要があります。

 

3. 引用

次に、「引用」という形で他人のコンテンツを利用することが考えられます。

著作権法は、論文や雑誌の記事において、他の論文や記事を紹介して評価したり批判したりする場合に、権利者の許諾を得ることなくその記事等を利用することを認めています。

これと同様に、自社メディアにおいても、「引用」という形で他人のコンテンツを利用することが考えられます。

具体的に、条文を見てみましょう。

 著作権法32条1項                                                                                                                                  「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」

この著作権法32条1項との関係では、多くの裁判例が出ており、この条文の文言と裁判例が示した要件との関係については議論があるところですが、「引用」として認められるためには、以下の要件を満たすことが必要であると考えられています。(参照:文化庁HP「著作権なるほど質問箱」)。

  1.  引用された著作物が公表されたものであること
  2.  公正な慣行に合致するものであること
  3.  報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われること
  4.  引用以外が「メイン(主)」で、引用部分が「サブ(従)」となる関係があること
  5.  引用部分とそれ以外が明確に区別されていること
  6.  引用を行う必然性があること
  7.  引用もとを明示すること(著作権法48条)

以上の要件を満たす場合には、著作権法上の「引用」の要件を満たし、権利者の許諾なく、コンテンツを利用することが認められます。

「引用もとさえ表示すれば問題ないんですよね!?」という質問を良く受けますが、「引用」と認められるためには上記すべての要件を満たす必要がありますので、「引用もとを明示するだけで当然に著作権侵害を回避できるわけではない」、ということはしっかりと認識しておきましょう。

 

4. 検索

権利者の許諾なくコンテンツを使用できる方法として、「検索」という方法も考えられます。

インターネットを利用する際に多くの方が利用される、GoogleやYahoo!に代表される検索エンジンサービスをイメージして頂ければよいと思います。

検索エンジンサービスは利用者にとって非常に便利なものである上、検索結果に誘導されて、利用者がそのウェブサイトに移動することが想定されますので、作成者の権利は損なわれないと考えられます。

したがって、著作権法上、情報検索サービスを実施するための複製等が認められています(47条の6)。

本来であれば、条文を引用すべきところですが、この条文は括弧書きも多く、読みづらい内容となっていることから、ポイントを絞ってみていきたいと思います。

(1) 対象となる著作物~利用できる対象は~

まず、この条文により利用することが認められる著作物は「送信可能化された著作物」、

つまり、インターネット上の著作物です。インターネット上の著作物であれば、文章、写真、美術等の種類は問われません。

もっとも、インターネット上の著作物であっても、会員制サイトのように、それを閲覧するためにIDやパスワードの入力が必要となる場合には、パスワード化等の手段を構築した者の承諾が必要となります。このようなサイトはそもそも限定された人のみ見ることが予定されているものだからです。

(2) 対象となる主体~誰が著作物を利用できるのか~

次に、著作物を利用することができるのは、「公衆からの求めに応じ、送信可能化された情報に係る送信元識別符号を検索し、及びその結果を提供することを業として行う者」とされています。

要するに、利用者の求めに応じて、インターネット上の情報に関するURLを検索し、表示する者ということです。

あくまでも、ユーザーからのリクエストがあることが前提となっています。

したがって、たとえば、利用者の求めに応じることなく一方的に検索結果を提供するサービスは、「検索」の要件を満たしません。

また、上記の行為を業として行う全ての者が対象となっているわけではなく、送信可能化された情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従って行う者のみが対象となっています。この基準に従っていないと、本条の要件は満たさないことになります。

その基準とは、具体的には、以下の3つとなります(著作権法施行令7条の5、著作権法施行規則4条の4)。

① 送信可能化された情報の収集、整理及び提供をプログラムにより自動的に行うこと

まず、自動的に情報を取得する場合でなければなりません。人力で情報を収集する場合には本条の対象とはなりません。

② 文部科学省令で定める方法に従い法第四十七条の六に規定する者による収集を禁止する措置がとら れた情報の収集を行わないこと

省令に規定する方法に従ってクローリングを禁止する措置がとられた情報を収集することはできません。

③ 送信可能化された情報を収集しようとする場合において、既に収集した情報について前号(②)に規定する措置がとられているときは、当該情報の記録を消去すること

既に収集していた情報であっても、再度収集を行おうとする際に②の措置が取られている場合には、再度情報を収集することはできず、既に収集した情報も消去しなければなりません。

(3) 利用態様~認められる利用とは~

この条文によって認められる行為は、①複製、翻案と②複製物・翻案物の自動公衆送信となります。クローリング及び検索結果表示用データの作成、蓄積は①に、検索結果の提供は②に該当することになります。

もっとも、検索結果の表示は、「公衆からの求めに応じ、」、「当該求めに関する送信可能化された情報に係る送信元識別符号の提供と併せて、」行われなければなりません。

すなわち、検索結果の表示は、あくまでも、公衆からの求めに応じて行われるものでなければなりません。

また、検索結果の提供の際には必ず元のコンテンツのURLを提供しなければなりません。

検索エンジンサービスはあくまでも、利用者が閲覧を希望するサイトへのアクセスを補助するものに過ぎないからです。

そして、本条で認められている著作物の複製や自動公衆送信は、「検索及びその結果の提供を行うために必要と認められる限度」でなければなりません。

したがって、たとえば、検索結果としてウェブサイト全体を表示することや画像をフルサイズで表示することは、「必要と認められる限度」とはいえないと考えられます。

この場合、利用者は元のウェブサイトへアクセスすることなく、検索エンジンサービス内で希望のサイトや画像を見ることができてしまうからです。

さらに、元のウェブサイトにアップロードされているコンテンツが違法なものであることを知った場合には、それ以降は、そのコンテンツを検索結果として提供することはできません

以上の要件を満たす場合には「検索」として、権利者の許諾なく、コンテンツを利用することができます。

 

執筆者によるコメント

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AZX Professionals Group
AZX総合法律事務所
弁護士 小鷹 龍哉

いかがでしたでしょうか。最後は細かい要件の説明となってしまいましたが、①許諾の有無、②コンテンツの利用態様(リンクを貼っているだけか、自社サーバー内に複製等しているか)、③引用の要件を満たしているか、④検索の要件を満たしているか、といった大枠を念頭に入れて、コンテンツを適法に利用しつつ、サービスの開発・運用に役立てて頂ければと思います。


投稿日:2016/07/21