秘密保持契約書(NDA)作成・レビューのポイント

投稿日:2014/04/24

Non disclosure agreement

 IMG_1156-150お久しぶりです!AZXブログ管理人の菅原です。

このAZXブログも、もう少しで1年を迎えます。

WordPressと格闘していたり、マカンコウサッポウの写真を撮っていた1年前が懐かしいです笑2年目も、皆さんの関心のある法務・税務トピックを、できるだけわかりやすくお届けできるよう頑張ります!

さて、AZXでは昨年から、契約書自動作成ステム「契助」をリリースしています。

(契助の機能については、こちらの記事をご覧下さい。)

契助では質問に答えるだけで契約書が自動で作成できるのですが、使っていただいたお客様から、「無料で作れるのはありがたいけれど、できあがった契約書の意味がいまいちわからない」「本当に自社に有利な内容となっているか不安・・・」といったお声もいただきました。

そこで契助で作成できる契約書について、作成・レビューのポイントとなる重要な条項を解説していくことにしました!皆さんが契約書を作ったりレビューしたりする際には、まずAZXブログで、どの条項が重要で、どう規定すれば自社に有利となるかをチェックするようにしてくださいね!

さて、第1回は、秘密保持契約書(NDA)です。

契助では、秘密保持契約書は無料で作成することができるので、この記事を読んだら、ぜひ実際に作成してみて下さい。「もう前に作ったよ!」という方もぜひ!きっと、「あぁこの条項はこういう意味だったのか!」とわかっていただける・・・はずです。

それでは早速内容に入っていきましょう。

 1.秘密情報の定義

「秘密情報の定義」とは、要は「どんな情報が秘密情報となるか」ということです。

そもそも秘密情報に該当しなければ、秘密保持義務を負わないことになる(開示者側からすると、第三者に開示されてしまう!)ため、「どんな情報が秘密情報となるか」は非常に重要です。

秘密情報の定義には、大きく分けて①秘密情報の範囲を限定しないタイプと②秘密情報の範囲を限定するタイプの2種類があります。

 ①秘密情報の範囲を限定しないタイプ

例:「秘密情報とは、本契約の当事者が相手方より開示された、●、●、●その他の事項に関するあらゆる情報を意味する。」

このように、相手方から開示された全ての情報を「秘密情報」として扱うタイプです。

情報を開示する側にとっては、自分が開示した情報が全て「秘密情報」になるため、このタイプが有利です。これに対し、情報を受領する側にとっては、秘密保持義務の対象となる情報が広くなる結果、管理が煩雑となったり、うっかり秘密情報を漏洩してしまう可能性もあるため、不利といえます。

 ②秘密情報の範囲を限定するタイプ

例:「秘密情報とは、本契約の当事者が相手方より開示された・・・あらゆる情報のうち、開示される際に秘密である旨を明示された情報を意味する。」

このように、相手方から開示された情報のうち、「秘密である旨を明示」した情報だけを「秘密情報」として扱うタイプです。契約書によっては、書面で開示する場合と口頭で開示する場合に分けて、明示方法が細かく規定されているものもあります。

情報を開示する側にとっては、秘密情報である旨の明示を忘れてしまうと秘密情報として保護されなくなってしまうため、一般的に不利となります。これに対し、情報を受領する側にとっては、秘密にすべき情報が明確になるので有利になりますね。

大企業とNDAを結ぶ場合には、大企業が情報管理をしやすいように、こちらのタイプのNDAがでてくることが多いです。

この秘密保持契約書で、自社が「情報を開示する側」なのか「情報を受領する側」なのかを考えて、自社に有利となる方を選んで下さい!

 2.秘密情報の取扱い

秘密情報の取扱いとして、①第三者に開示又は漏洩してはならない(秘密保持)、②秘密保持契約の目的以外に利用してはならない(目的外使用の禁止)、の2点が規定されているか確認しましょう!

秘密保持契約書なので、①の「秘密保持」についてはどの契約書にも規定されているのですが、意外と忘れやすいのが②の「目的外使用の禁止」です。

秘密保持契約書は通常、特定の目的のため(ソフトウェア共同開発の可能性の検討、など)に締結されますが、開示先は自社の競合企業であることも少なくありません。そんな相手に開示する際に、①秘密保持だけ規定している秘密保持契約書を締結してしまったら大変ですので、くれぐれもお気を付け下さい(契助ではデフォルトで①・②を規定しています。)。

 3.複製の可否

よく見るパターンとしては、①複製を自由に認める、②一定の目的の範囲内であれば複製を認める、③複製には常に相手方(開示者)の同意を必要とする、の3パターンがあります。

情報を開示する側の場合には、一般的には③が有利ですが、秘密情報をPCに保存したり、コピーすることも「複製」にあたるため、いちいち同意を必要とするとかえって煩雑になってしまう可能性もあります。そんなときは②にしておいてもいいですね。

なお、複製を認める場合には、契約終了時又は開示者が要求したときに、秘密情報のみならず、その複製物についても破棄・返却する旨の規定を設けておくようにしましょう。

 4.契約書の存在・交渉過程の非開示

この秘密保持契約書を締結しているという事実そのものや、当該相手方と交渉しているという事実や交渉過程も秘密情報と同様に第三者に開示又は漏洩してはならないとする規定です。

海外の秘密保持契約書にはよく入っている規定ですが、日本でもM&Aや事業提携を検討する際に締結する秘密保持契約書にはこの規定が入っていることがあります。

契約書の存在や交渉過程は、「相手方から開示された事実」ではありませんから、そのままでは秘密情報には含まれません。したがって、「この相手と交渉していることがばれたらまずい!」というような場合には、この規定を入れておく必要があります。

5.秘密情報の返却、廃棄

秘密保持契約が終了した場合だけでなく、開示者が求めた場合にはいつでも、受領者は秘密情報(及びその複製物)を返却、廃棄すると規定しておいた方が安全です。

本当に重要な情報の場合には、廃棄証明書を交付することを規定しておくことも考えられます。

(契助ではデフォルトで開示者が求めた場合の返却・廃棄及び廃棄証明書について規定しています。)

 6.番外編:英文の秘密保持契約書(NDA)

秘密保持契約は、海外の企業と締結する場合も多いと思います。英文の秘密保持契約書(NDA)でもチェックすべき点は、基本的には上記1.~5.と同じです。

ただ、日本の秘密保持契約書と異なり、NDAの場合には、契約主体に各当事者の“subsidiaries”や“affiliates”が含まれていることが多く、親会社だけに開示したつもりが、子会社や関連会社にまで秘密情報が開示されてしまうといった可能性もあるため、注意をする必要があります。

また、NDAなのに知的財産権の移転や使用制限が規定されていたり、競業禁止が規定されていたりする場合もありますので、こうした規定がしれっと入っていないか、気をつけて確認するようにしてください。

執筆者によるコメント

執筆者

AZX Professionals Group
AZX総合法律事務所
弁護士 菅原 稔

秘密保持契約書にどんなことが書いてあるのか、その規定がどんな意味をもっているのか、理解できましたでしょうか。

相手方から契約書を受け取ったときに、それが自社にとって「有利」なのか「不利」なのか、ある程度見通しがたてられるだけでその後の対応もかわってきますので、このブログで勉強してみてください!


投稿日:2014/04/24