会社設立手続

これから創業する起業家の方へ

ビジネスの規模を拡大していくためには、資金を調達し、人材を拡充し、設備を整えていく必要があります。そのためには、個人事業の形では限界があり、会社等の形態にするのが一般的です。

会社の形態については、IPOを目指したり、大型の資金調達を行ったりする予定であれば「株式会社」とする必要がありますが、少数の仲間とのみ事業を行うことを主たる目的として、責任の有限性のみを確保したいのであれば、合同会社(LLC)や有限責任事業組合(LLP)などの形態も考えられます。会社の設立手続については、自分の新たな出発の礎となる会社を自分の手で創るという観点や、当初の貴重な資金を節約するという観点から、自分自身で手続を行う起業家もいます。

AZXでは、そのような皆様のために、株式会社の設立手続のマニュアルと書式の雛型を用意致しましたので、下記をご参照ください。

なお、将来、日本の会社において、外資系企業から資金調達をしたり、米国等の海外に会社を作って、日本法人を子会社化して、その海外の親会社で資金調達をしたり、M&Aを行ったりする予定の場合には、外国の投資家から、日本法人の設立手続の適法性に関する弁護士の意見書等を求められる場合があります。仮に設立登記が通っていたとしても、登記は形式審査に過ぎず、設立手続に瑕疵が存在している場合があり、その場合には、適法意見を出せない場合もあるため、上記のように海外からの資金調達を予定している場合には、設立手続について弁護士等の専門家に任せた方が安全です。

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  • 会社設立関連書類の雛型はありますか。
    会社設立関連書類の雛型については、下の「会社設立関連書類(雛型)」をクリックしてください。
    会社設立関連書類(雛型)
    また、AZX総合法律事務所が運営する契約書自動作成システム『契助-KEISUKE-』にて、設立関連書類(取締役会設置取締役会非設置)を自動作成(有料)することもできますので、是非ご利用下さい。

  • 会社を設立するにはどのくらいの費用がかかりますか。
    株式会社を設立する場合、定款認証費用(約10万円。電子認証の場合には約5万円。)と、設立登記の登録免許税(資本金額×0.007。最低15万円。)は必ず必要となります。
    なお、合同会社(LLC)の設立の場合、定款認証は不要ですので、定款認証費用はかかりません。また、登録免許税は株式会社と同様に資本金額×0.007で計算しますが、最低6万円となりますので、資本金が小さければ株式会社より少ない登録免許税で設立することができます。
  • 発起人とは何でしょう。誰がなるのでしょうか。
    法的には、設立時に作成する株式会社の定款に、発起人として署名した者が発起人となりますが、実質的な役割としては、定款の作成その他一連の設立事務を執行する立場となります。また、発起人は1株以上を引き受けて出資しなければならないので(会社法第25条第2項)、自ら出資する人ということにもなります。発起人は、任務の懈怠により設立した会社に生じた損害を賠償する責任を負うなど、設立について重い責任を負担します(会社法第52条、第53条)。したがって、設立する会社の中心となる創業者が発起人になるのが通常です。

  • 取締役は最低限何人確保すれば良いのでしょう。監査役はなくても良いですか。
    会社法では株主総会及び取締役が必須ですが、それ以外の機関については、一定のルールのもと機関設計の選択が可能であり、取締役会や監査役を置かないことも可能です。従って、取締役1名のみの設計も可能です。最もシンプルに、株主総会と取締役のみの機関設計を採用する場合、創業者1名が取締役になれば足り、監査役も不要です。なお、取締役会及び監査役を置く場合、取締役3名以上、監査役1名以上が必要となります。
  • 少人数で運営することを優先して、取締役会や監査役を置かない場合、何かデメリットはあるでしょうか。
    取締役会を置かない会社では、株主総会の権限が強化され、あらゆる事項について株主総会が決議することが可能となり、持株数にかかわらず各株主が株主総会の議題及び議案を提案できるため、会社経営への株主の関与度合が高くなります。また、監査役を置かない場合には、取締役の過半数によって取締役の責任を免除する制度(会社法第426条)が利用できなくなるほか、株主による取締役会招集権など、監査役の業務監査に代わる措置として株主の監査権限が強化されます。したがって、機関設計の選択においては、役員候補の人材の有無のみならず、株主との関係における経営者の会社運営の自由度の観点も考慮する必要があります。なお、当初は取締役会や監査役を置かないシンプルな機関設計とし、軌道に乗って役員の人材が確保されてから機関設計を変更することも可能です。
  • 資本金の額は自由と聞きましたが、総額100万円出資する場合、1株あたりの価額と株数はどうすれば良いのですか。
    会社法上、設立時の1株あたりの発行価額の規制はなく、自由に決定できます。株数については定款所定の発行可能株式総数の範囲内であれば問題ありません。なお旧商法では、発行する株式数が発行可能株式総数の1/4を下ってはならないという規制がありましたが、会社法ではこの規制は公開会社に限定されているため(なお会社法上の「公開会社」の意味は、上場会社とは異なる点ご留意下さい。)、非公開会社では株数の下限はありません。もっとも、単価が高すぎれば、その後の増資の支障となり、株式分割をして投資単価を下げる手間が生じてしまうため、資本政策を考慮して合理的な価額に抑えておくことになると考えられます。特に希望がなければ1株1万円で100株又は1株1000円で1000株としておく形が多いようです。
  • 現金でなく現物を出資するのは手続が面倒でしょうか。
    現金以外の出資をする場合、その財産をもって充当する出資額と財産の価値の均衡が問題となるため、原則として検査役の検査が必要となります。検査役には裁判所によって公認会計士等の専門家が選任され、その報酬を負担する必要があるほか、検査には一定の期間を要するため、起業家にとって想定外の時間とコストを費やすことになります。但し、価額が500万円以内である場合など、検査役の検査が不要となる一定の例外があります。
  • 現物出資が面倒なので、設立してからその財産を会社で買い取ることにしても問題はないですか。
    会社が、設立後2年以内に会社の純資産額の20%を超える対価で、設立前から存在する事業用の財産を買い取る場合には、いわゆる事後設立として株主総会の特別決議が必要となりますので、その点ご注意下さい。現物出資と異なり、検査役の検査は不要です。
  • 合同会社(LLC)とは何でしょう。株式会社や有限責任事業組合(LLP)とは何が異なるのでしょうか。
    株式会社やLLPと同様に、出資者が出資額以上の責任を負わない組織類型の一つです。機関設計や利益配当などのルールについて、株式会社は会社法の規定に従う必要があるのに対し、LLCでは原則として定款で自由に定めることができる点が特徴です。また、法人格を有する点でLLPとは異なります。出資と経営の一致が原則となるため、出資者が少数の場合に用いられる例が多くなっています。
  • 有限責任事業組合(LLP)の特徴はどのような点でしょうか。
    出資者は出資額以上の責任を負わないことや、利益配当など組合契約において原則として自由に定めることができる点では合同会社(LLC)と同様ですが、法人格を有しておらず、パス・スルー課税が認められるのが特徴です。また、出資者は2名以上必要である点や、株式会社への組織変更が認められない点などがLLCと異なります。
  • 有限責任事業組合(LLP)はどのような場合に活用できるのでしょうか。
    LLPは、会社ではなく組合の一種となりますが、①出資額の限度までしか責任を負わない点(有限責任)、②損益の帰属や権限分配を自由に決定できる点(内部自治)、③組合員に直接課税される点(パス・スルー課税)が特徴です。複数の企業がジョイントベンチャーを立ち上げる場合、共同で子会社を設立することが多いですが、子会社支配を通じたメリット享受のみならず、より直接的に事業の収益を得たい場合や、参加企業の役割に応じた柔軟な収益分配を行いたい場合には、LLPの形態が適していると言えます。
  • 当社の技術力を見込んで、資金を提供してくれるという企業と、ゲーム制作プロジェクトのためのLLP(有限責任事業組合)を立ち上げる予定です。当社は殆ど金銭を出資できないのですが、対等な収益分配を受けることはできるのでしょうか。
    LLPへの出資は、金銭その他の財産に限定されており、いわゆる労務出資は認められません。したがって、本件の場合、貴社の当初の出資比率自体は低くなると思われます。しかし、LLPでは労務やノウハウの提供等も考慮して、出資比率と異なる収益分配を定めることが可能であり、意思決定の方法についても出資比率と異なるルールを定めることが可能です。こうした事項についてLLP契約に適切な定めを置くことで、収益分配等に貴社の貢献度が反映することが可能であると考えられます。
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