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当社は非公開会社であり、株主総会決議と取締役会決議を経て従業員に発行した新株予約権があります。従業員と締結している新株予約権割当契約書には、当会社の上場までは行使できない旨の特約を定めたのですが、契約を変更してこの特約を撤廃したいです。割当契約書は取締役会で承認したものなので、取締役会の決議があれば変更は可能でしょうか。

最高裁判所は、株主総会決議により新株予約権の行使条件の決定を取締役会に委任した事案において、「取締役会が株主総会決議による委任を受けて新株予約権の行使条件を定めた場合に、新株予約権の発行後に上記行使条件を変更することができる旨の明示の委任がされているのであれば格別、そのような委任がないときは、当該新株予約権の発行後に上記行使条件を取締役会決議によって変更することは原則として許されず、これを変更する取締役会決議は、上記株主総会決議による委任に基づき定められた新株予約権の行使条件の細目的な変更をするにとどまるものであるときを除き、無効と解するのが相当である。」との判決を下しました(最高裁平成24年4月24日判決)。
かかる判例を前提とすると、ご質問のケースの特約は細目的な変更とは言い難いと考えられるため、取締役会でかかる特約を変更することは無効と判断される可能性が高いと考えられます。なお、上記の判例は商法ベースのものであり、会社法では別の考慮が必要となる可能性もあるため、ご質問のケースのように契約内容の変更を行う場合には、弁護士等の専門家にご相談いただいた方が良いと考えられます。
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