保全、執行、回収

  • Q&Aの内容は、作成日時点の情報に基づき正確を期するようにしておりますが、最新の法令、判例等との一致を保証するものではございません。また、具体的な案件を想定して作成しておりませんので、個別の案件につきましては専門家にご相談下さい。

質問をクリックすると回答が開きます。 もう一度クリックすると回答が閉じます。

Q00052 差押えには債務名義が必要と聞きましたが、債務名義とは何ですか。

差押をするために必要な債務名義には、確定判決、仮執行宣言付き判決、抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判、仮執行の宣言を付した損害賠償命令、仮執行宣言付き支払督促、訴訟費用等の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は執行費用等の額を定める裁判所書記官の処分、執行証書(執行認諾文言付公正証書)、確定した執行判決のある外国裁判所の判決、確定した執行決定のある仲裁判断、確定判決と同一の効力を有するもの(和解調書、認諾調書等)があります(民事執行法第22条)。
これらの債務名義のない場合には、差押えはできませんが、相手方から資産が流出することを予防する仮差押えができる場合があります。仮差押には債務名義が要りませんが、実際に回収するためには、仮差押した後に勝訴の確定判決を得るなど、債務名義が必要になります。
(作成日:2012年1月27日)

Q00053 債権回収の際の強制執行の対象となるものには、どのようなものがありますか。

執行の対象となるものは、大きく分けて債権(売掛債権、預貯金債権等)、不動産(土地、建物)、動産があります。これらのうち、金銭債権についてはこれを差し押さえて第三債務者から回収する方法、金銭債権以外のものについては、競売による換価を経て回収する方法が基本になります。特許権のような知的財産権や、会社の株式も強制執行の対象とすることが可能ですが、その特殊性から執行方法については個別に検討する必要があります。例えば株式については、株券発行の有無、債務者による占有の有無、保振制度による振替決済に係るか否かなどにより、手続が異なります。
(作成日:2012年1月27日)

Q00054 売掛金を支払ってくれない取引先が破産しそうだとの噂があります。他にも債権者がいるようですが、どのようにしたら優先的に債権の回収ができるでしょうか。

法的な倒産手続きに入ってしまうと、別除権の行使として認められる担保の実行等による他は、売掛金は一般の破産債権として処理されてしまうため、他の債権者に優先して回収することはできません。そのような状況で強引に回収した場合には、破産管財人によって、否認権を行使されてしまうこともあります。したがって、注意の必要な取引先との取引では、質権や抵当権を設定したり、連帯保証人を用意させたりして、事前に対応した方がよいことになります。また、反対債権があるならこれと相殺するなどして回収する方法も考えられます。
(作成日:2012年1月27日)

Q00055 取引先の会社が売掛金を支払ってくれないので、社長の財産から払ってもらいたいのですけど、できるでしょうか。

取引先の社長が当該売掛金債務を個人的に保証していなければ、社長には支払義務はありません。但し、交渉により、社長が個人的に支払うことに同意すれば、もちろん、支払ってもらうことはできます。
また、取締役の職務執行につき悪意又は重大な過失があったときは、その取締役は、第三者に対して、損害を賠償する責任を負います(会社法第429条第1項)。実務上、会社が倒産して会社からは回収できないときに、取締役の責任を追及する方法として取締役のこの責任を追及することも考えられます。例えば、支払える見込みのない手形を振り出したり、粉飾決算をしていたような場合などです。
(作成日:2012年1月27日)

Q00056 債権回収を確実にするために、契約締結段階でできることはないでしょうか。

取引を行う際に、取引先会社とは別人格の法人や個人の連帯保証を取り付けたり、抵当権や質権などの担保を設定することにより、債権回収の確実性を高めることができます。もちろん、事前の信用調査もできればした方が良いです。
(作成日:2012年1月27日)

Q00060 破産手続における破産債権、優先的破産債権、劣後的破産債権とはどのようなものですか。

破産債権とは、破産者に対し、破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって、財団債権に該当しないものをいいます(破産法第2条第5項)。これは、破産手続の中で、債権を届け出て破産財団から弁済を受けることのできる債権です。破産手続開始後の利息の請求権など、同法第97条各号に列挙される債権も含まれます。
この内、優先的破産債権とは、破産財団に属する財産につき一般の先取特権その他一般の優先権がある破産債権で(同法第98条第1項)、共益費用や労働債権がこれに該当します。劣後的破産債権には、同法第99条第1項各号に定めるものと、同条第2項に規定のある破産手続開始前に当事者間で破産手続における配当の順位が劣後的破産債権に遅れる旨の合意がされた債権(約定劣後破産債権)の2つがあります。前者は破産手続開始後の利息、延滞税、利子税及び延滞金などがその例です。優先的破産債権及び劣後的破産債権以外の破産債権を普通破産債権と呼ぶこともあります。
(作成日:2012年1月27日)