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適格機関投資家等特例業務としてファンドを組成する場合、他のファンドから出資を受けても問題ないでしょうか。

まず、出資を募る相手方が適格機関投資家等に該当する場合であっても、適格機関投資家等特例業務の人数規制の潜脱を防止する観点から、ファンド・オブ・ファンズについては、原則的に禁止されています。具体的には、出資を募る相手方が、(a)特定目的会社であってその発行する優先出資等を適格機関投資家以外の者が取得している場合(同法第63条第1項第1号イ)、(b)一定の場合の匿名組合契約の営業者又は営業者になろうとする者であって適格機関投資家以外のものを匿名組合員とする場合(同号ロ)、(c)特別目的会社であってその発行する社債等を適格機関投資家以外の者が取得している場合(同号ハ、金融商品取引業等に関する内閣府令第235条第1号)又は(d)一定の場合の集団投資スキームの運営者であって適格機関投資家以外の者から出資等を受けている場合(同号ハ、同内閣府令第235条第2号)のいずれかに該当する場合は、適格機関投資家等特例業務の要件を満たしません。実務上は、ある投資事業有限責任組合(親ファンド)が、適格機関投資家等特例業務を使用して組成・運用される別の投資事業有限責任組合(子ファンド)に出資することはよくありますが、このようなケースは、親ファンドと子ファンドの適格機関投資家でない出資者の人数が通算して49名以下であるなどにより、(d)の要件に該当しない(ファンド・オブ・ファンズが許容される例外的なケースに該当する)という整理と考えられます。 なお、上記のように、ある投資事業有限責任組合(親ファンド)が、適格機関投資家等特例業務を使用して組成・運用される別の投資事業有限責任組合(子ファンド)に出資することは一定の要件を満たせば可能であり、また、投資事業有限責任組合はそれ自体が「適格機関投資家」に該当することから、平成27年の金商法改正以前は、少額で組成された投資事業有限責任組合から出資を受けることにより、簡単に適格機関投資家等特例業務の要件を充足できたことが問題視されていました。そこで、同改正以後は、あるファンドの適格機関投資家の全てが投資事業有限責任組合であり、かつ、それらの親ファンドの運用財産(借入金を除く。)がいずれも5億円未満である場合には、適格機関投資家等特例業務の要件を満たさないこととされましたので、この点にも留意が必要です(金融商品取引業等に関する内閣府令第234条の2第1項第1号、第2項第1号)。