役員の責任

  • Q&Aの内容は、作成日時点の情報に基づき正確を期するようにしておりますが、最新の法令、判例等との一致を保証するものではございません。また、具体的な案件を想定して作成しておりませんので、個別の案件につきましては専門家にご相談下さい。

質問をクリックすると回答が開きます。 もう一度クリックすると回答が閉じます。

Q00298 会社法上、取締役の会社に対する賠償責任が問題になる場合として、主にどのようなものがあるでしょうか。

取締役は会社に対する善管注意義務及び忠実義務を負っており、その懈怠があった場合に損害賠償の責任が生じます。その中には、具体的な会社法上の規制(利益相反規制、競業禁止規制、自己株取得規制等)に反した場合のほか、経営上の判断の是非が問題となる場合、他の取締役や従業員の行為に対する監視責任が問題になる場合などがあります。
任務懈怠責任による賠償責任のほかには、分配可能額を超過する配当等が行われた場合、現物出資財産の額が不足していた場合等の填補責任があります。
(作成日:2012年1月27日)

Q00299 株主代表訴訟では、一般的に取締役の任務懈怠責任についてどのような判断がなされているのでしょうか。

個別の事案によりますが、一般的な傾向としては、具体的な会社法上の規制(利益相反規制、競業禁止規制、自己株取得規制等)に反している事例では、責任が認められており、経営判断の是非が問題となる事例では、責任が否定される事例が多くなっています。後者については、Q00300で説明する経営判断の原則をご参照下さい。
(作成日:2012年1月27日)

Q00300 取締役の責任でよく耳にする、経営判断の原則とは何でしょうか。

代表訴訟の裁判例で一般に採用されている考え方であり、経営判断の是非が問題になるケースでは、判断の前提となった事実認識に不注意な誤りがなく、判断の過程・内容が著しく不合理なものでなければ、任務懈怠がないものとする考え方です。但し、経営判断の過程で法令・定款の違反がある場合や、自己又は会社以外の第三者の利益のために経営判断がなされた場合には、この原則は適用されない傾向にあります。
(作成日:2012年1月27日)

Q00301 取締役が気付かなかった従業員による不祥事によって生じた問題について、取締役は常に監視義務に違反したものとして任務懈怠の責任を負わなければならないのでしょうか。

業務担当取締役は、下位の従業員を監督する責任を負いますが、合理的な権限分配等を定めた監視システムを構築、運用している限り、取締役は個別の業務執行について下位の者を信頼できると解されており(いわゆる信頼の原則)、それでも従業員の行為に気付かなかった場合にはやむを得なかったものとして責任は回避されると考えられます。逆に、そのような監視システムの制定と運用を行っていなかった場合には、そのこと自体から責任を問われる可能性があります。いわゆる内部統制システムとして問題になる点であり、いかに合理的な内部統制を策定するかは取締役の責任の観点からも重要な事項となります。
(作成日:2012年1月27日)