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薬機法の広告規制とは?スタートアップが化粧品や医薬品等のPRで炎上・違反を防ぐポイント

2026/06/18

AZXの横田です。

近年、D2Cやパーソナライズ等を武器に化粧品・医薬部外品・医薬品等(以下「化粧品等」といいます。)の販売を行うスタートアップや、SNSを活用した化粧品等のマーケティング支援をするスタートアップが増えており、弊所でもサポートさせて頂いています。

インフルエンサー施策等により「バズ」を生み、一気に商品の認知を拡大させるマーケティング手法も多いですが、化粧品等は消費者の皮膚や健康等に影響を及ぼし得るものであるため、薬機法(正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)をはじめとする法令により厳しい広告規制が定められています。

悪気がなくても、知らずに違法な表現を使ってしまうと、SNS等での炎上リスクがあることに加え、行政指導、広告行為の中止命令、刑事罰、課徴金[1]等の対象となる可能性があり、ブランドの価値や信頼が一瞬で失墜してしまい、大きな経済的な負担等も生じ得ます。

そこで今回は、化粧品等のPRをする際に気を付けるべきポイントについて解説します。

1.そもそも「広告」に該当するのは?

薬機法上、以下の3つの要件をみたすものが化粧品等の「広告」として規制の対象となると考えられています[2]

①誘引性: 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること

②特定性: 特定の化粧品等の商品名が明らかにされていること

③認知性: 一般人が認知できる状態であること

この要件の充足性の判断は実質的になされる点に注意が必要です。

そのため、上記①について、例えば、消費者が化粧品等の感想を記載しているだけのように見える投稿等であったとしても、広告主から報酬の支払がある場合には、「誘因性」があると判断される可能性があります。

また、上記②について、「ビタミンCには皮膚をすこやかに保つ働きがあります」といった、一般的な成分の性質を解説する動画は「特定性」の要件を満たさず、広告に該当しない可能性がありますが、その動画の概要欄や動画の投稿記事等において特定の商品のリンクが記載され、そのリンク先(ECサイトなど)で商品の特定ができる場合は「特定性」があると判断される可能性があります[3]

2.薬機法の広告規制の適用主体は?―「何人も」

薬機法の広告規制(誇大広告の禁止、承認前医薬品等の広告禁止)の適用主体は、「何人も」とされています。

そのため、化粧品等の販売業者(広告主)だけでなく、広告代理店、メディア、クリエイターやインフルエンサー等も規制の対象となり得ます。

例えば、インフルエンサーに商品を無償提供(ギフティング)して商品のPRをする動画等の投稿をしてもらう場合で、その投稿が薬機法の広告規制に抵触する場合、広告主とインフルエンサーの双方が責任を負うことになる可能性があります(広告代理店が関与している場合、広告代理店が責任を負う可能性もあります。)。

そのため、インフルエンサー等に商品のPR投稿等をさせる場合は、広告主(ブランド側)や広告代理店にて、投稿内容を事前にチェックすることが必要になると考えます(広告審査のチェックリスト等を作成してチェックするのが望ましいと考えます。)。

3.薬機法上の主要な広告規制は?

薬機法における広告規制のうち、特に化粧品等のPRをするスタートアップにおいては、主に以下の2つの規制に注意が必要です。

誇大広告等の禁止(薬機法第66条)

化粧品等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であるか暗示的であるかを問わず、虚偽又は誇大な広告をすることが禁止されています。

これに該当する場合の具体例については後述します。

承認前医薬品等の広告禁止(薬機法第68条)

承認又は認証を受ける前の医薬品等について、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告を行うことは一切禁止されています。

承認申請中のものはもちろん、既に承認を受けている商品であっても「承認外の適応(効能効果)」をうたうこともできないこととなっています。また、実際に効果があったとしても、未承認の効能効果等を広告することは当該規制に抵触します。

そのため、化粧品や医薬部外品等について、承認されていない薬理作用による効能等をうたう広告は、これらの広告規制に抵触する可能性があります。

また、特定の効能効果につき承認を受けた治療薬について、承認されていない効能効果を訴求して当該商品を販売する旨の広告をすることは、これらの規制に抵触する可能性が高いと考えます。

③ 補足(医療広告について)

なお、医療行為として医薬品等を使用又は処方する旨の広告は、薬機法ではなく医療法の広告規制の対象になると考えられます[4]が、未承認医薬品を使用又は処方する旨の自由診療の医療広告については、厚生労働省の医療広告ガイドライン(令和8年3月30 日最終改正)に定められた限定解除の要件を充足した場合に限り可能とされており、例えば、(i)未承認医薬品であることの明示、(ii)入手経路等の明示、(iii)国内の承認医薬品等の有無の明示、(iv)諸外国における安全性等に係る情報の明示、(v)医薬品副作用被害救済制度等の救済の対象にはならないことの明示など、いくつかの事項を明示する等の対応が必要となります[5]

そのため、例えば、2型糖尿病として承認されている医薬品について、承認されていない肥満症の治療薬として処方する旨の医療広告をする場合は、この限定解除の要件等の医療広告規制に則らなければ、医療法に抵触する可能性が高いと考えます。

4.禁止される表現の具体例は?

上記の広告規制により具体的に制限される表現等のうち、問題になりやすいものについて、以下でいくつか説明します[6]

① 化粧品の効能を逸脱する表現(薬理作用等)

化粧品については、広告で表示することができる効能の範囲が行政通達[7]により示されており、この行政通達に記載の56項目の範囲を逸脱する効能効果をうたう広告はできないこととされています。

また、化粧品は、本来そのほとんどが薬理作用によってその効能効果が認められたものではないため、薬理作用による効能効果(「治癒、回復、改善等」)の表現はできないこととされています[8]

そのため、例えば、「エイジングケア」という表現について、加齢によって変化している現在の肌状態に応じて、化粧品に認められた効能・効果の範囲内で行う年齢に応じた化粧品によるお手入れ(ケア)という表現であれば広告規制に抵触しないと考えられますが、それを超える表現は広告規制に抵触する可能性が高いと考えます。

具体的なOKな表現とNGな表現の例は以下のとおりです。

○ 年を重ねた肌にうるおいを与えるエイジングケア
  年を重ねた肌にうるおいを与える成分○○を配合したエイジングケア

×  アンチエイジングケア
  若々しい素肌がよみがえるエイジングケア
  シワやたるみを防ぐエイジングケア

効果等の使用体験談

化粧品等の体験談(インフルエンサーや自他者を問いません)の広告は、消費者に対し化粧品等の効能効果又は安全性について誤解を与えるおそれがあるため、効能効果又は安全性以外の、使用方法・使用感・香りのイメージ等に関する事実に基づく使用者の感想の範囲に限り、認められています。

具体的なOKな表現とNGな表現の例は以下のとおりです。

○ 使いやすいので忙しい私にピッタリ、助かっています。
  しっとりした使い心地が私の好みに合っています。
  女性らしいライトフローラルの香りが好きです。

×  肌が明るくなったのでビックリしました。(スキンケア化粧品)
  眼の下の小ジワにうれしい変化が!
  キメが細かくなって、チョット嬉しくなるくらい効果が実感できました。

なお、注釈で「※ あくまで個人の感想です。一定の効果を保証するものではありません。」などと記載しても、認められない表現を救済することはできないと考えられている点に注意が必要です。

医薬関係者等による推薦

医薬関係者等(医師、理容師、美容師、病院、診療所、薬局その他化粧品等の効能効果に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会等の団体を含みます。)が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならないこととされています。

そのため、以下のような表現はNGと考えられます。

×  〇〇皮膚科医の推奨!
  ○○医師公認!
  厚生労働省承認!

なお、医師等のスタイル(白衣等)の人が、化粧品等の広告中に登場すること自体は直ちに医薬関係者の推せんに該当するわけではないものの、医薬関係者との誤認を与えないようにする必要があるとされています(自社の「製品研究者」を白衣姿で登場させる場合、「自社の従業員であること」を事実に基づき明記しなければならず、「医学博士」等の医薬関係者を暗示する肩書きは事実であっても併記できないとされています。)。

④ 配合目的を併記しない特定成分の表示

化粧品において特定成分の特記表示(商品に配合されている成分中、特定の成分を表示すること)は、あたかもその成分が有効成分であるかのような誤解が生じ得るため、原則として行ってはならないとされています。但し、特定成分に配合目的を併記するなど、『化粧品における特定成分の特記表示について』(医薬監麻発0310第3号)(令和7年3月10日)に基づき特定成分の表示を行う場合に限り特記表示が認められています。

具体的なOKな表現とNGな表現の例は以下のとおりです(上記通達Q&Aの14参照)。

○ アロエエキスが肌にうるおいを与えます。
  うるおい成分コラーゲンを配合
  肌にうるおいを与えます。(ヘチマエキス配合)

×  アロエエキスを配合した化粧水です。
  (配合目的が記載されていないためNG)

5.まとめ

今回は、化粧品等のPRにおいて注意すべき薬機法の広告規制の概要について解説しました。

上記では注意すべき表現等の例をいくつか説明しましたが、薬機法の広告規制では上記以外でも注意すべき事項が多く、また、景品表示法上の広告規制(有利誤認表示やステマ規制など)についても注意が必要であり、広告審査には専門的な知見が必要となります。

当事務所では、「これを伝えたい!」という熱意を尊重しながら、法律の枠内で最大限に魅力を伝える「代替表現」のご提案や、チェックリスト・ガイドラインの策定等の広告審査の運用サポートも行っています。広告の表現や施策、広告審査の運用等に迷った際は、是非お気軽にご相談ください。

【脚注】

[1] 令和3年8月1日施行の法改正により、虚偽・誇大広告について対象期間の売上額の4.5%相当額の課徴金制度が導入されています(『課徴金制度の導入について』(厚生労働省 医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課)参照)。

[2] 『薬事法における医薬品等の広告の該当性について』 (平成10年9月29日医薬監第148号都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省医薬安全局監視指導課長通知)

[3] 『インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について』(平成26年5月22日薬食監麻発0522第9号厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知)のA2参照

[4] 但し、医薬品を販売又は無償での授与をする旨が記載された広告は、薬機法上の広告規制も適用されるとされています(医療広告ガイドライン39頁参照)。

[5] 限定解除の要件の詳細については、医療広告ガイドライン34頁以下をご参照ください。なお、その他の医療広告に関する規制も遵守する必要があります。

[6] 以下の説明は、『化粧品等の適正広告ガイドライン2020年版』(日本化粧品工業連合会)を踏まえて記載しています。詳細はこちらのガイドラインをご参照ください。

[7] 化粧品の効能の範囲の改正について(平成23年7月21日薬食発0721第1号厚生労働省医薬食品局長通知)

[8] いわゆる薬用化粧品については、医薬部外品として標ぼうできる効能効果が定められており、承認を得た範囲内で、化粧品よりも強い効能効果を標ぼうをすることができることとされています。

 

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執筆者
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