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知っていますか?いま確認しておきたい消費税の注意点!!

2013/08/30

 猛暑が続きますが、皆さん如何お過ごしでしょうか? 私は地元湘南のゆるーい波でマッタリとボディボードを楽しんでいます。 波と言えば…景気の波は為替相場に反応して乱高下していますね。消費税増税も大きなポイントとして注目されているところです。 消費税がどのような段階を経て増税されるかはわかりませんが、その時期等の関係で複数税率が導入されるのでは、という点も個人的にはとても気になっています。複数税率とは、贅沢品には高い税率を、生活必需品には低い税率を適用する等の異なる税率を設定することです。 諸外国の例ではこんな感じ。

フランス チョコレートは標準税率(19.6%)笘桙セけど板チョコだったら軽減税率(5.5%)に!
イギリス ハンバーガー等の温かいテイクアウト商品は標準税率(20%)笘桙セけどスーパーの惣菜だったら軽減税率(0%)に!!
ドイツ ハンバーガーを店内で食べたら標準税率(19%)笘桙セけどテイクアウトしたら軽減税率(7%)に!!!
カナダ ドーナツ5個買ったら標準税率(5%)笘桙セけど6個以上なら軽減税率(0%)に!!!!

うーん、難しすぎる(笑) 日本の場合は一体どうなってしまうのでしょうか??   さて、複数税率についてはこれくらいにしておき、予定通りに来年4月1日(以下「施行日」とします。)から消費税率8%となった場合について少し考えてみましょう。 <Case> ソフトウェアの受託開発を行うクライアントのA社さんは、同社のお客様の税負担が5%のうちに、営業戦略的に案件の受注を拡大しておきたいようです。 そのA社さんから、「うちの契約、製品の完成が来年なんですけど、契約時点では消費税率は5%だから、5%の消費税で問題ないですよね!?先にお金も頂戴しました!」というような質問を受けましたが、本当にそうでしょうか??   ―いつの時点の消費税が適用される?― A社さんの契約は受託開発ですから、物の引渡しを要する請負契約ということになります。その場合は目的物の全部を完成して引渡した日を基準に消費税率を判断するということになっていますので、引渡した日が施行日前でしたら、質問の通りに税率は5%でOKです。 ただし、A社さんのように施行日前に契約締結を済ませており、かつ、代金を既に領収している場合であっても、実際の引渡しの日が施行日以後になりますと、その製品売上は8%の税率が適用されることになりますので、要注意です! 契約締結日は税率の適用に基本的には影響しませんし、代金の領収も単に前払金を受け取っただけという状態に過ぎません。したがって、引渡しの日が施行日以後にずれ込むケースでは、差額3%相当分を改めて請求できないと、受領した金額が税率8%の消費税を含む税込対価になってしまうことも考えられます。 税率についての取引先との認識相違はトラブルの原因になりますので、一つの対策として、契約締結にあたっては安易に契約金額を税込とせず、消費税は税率に応じて柔軟な対応が可能となるよう外税にしておくことをお勧めします!   ―経過措置にも注意― もしも最初から引渡し日が施行日以後になりそうだということが予想できている場合には、こうした請負契約に関して5%の税率適用を認めますよ、という経過措置が消費税改正法附則で定められていますので、その一部を紹介しておきたいと思います。 例えば工事の請負等については、受注から完了までに長期間を要するものが少なくありません。そのため、法律で定められている指定日(平成25年10月1日)の前日である平成25年9月30日までに要件を満たした契約を締結している場合には、その契約に関しては税率5%を適用するということになっています。 工事の請負に係る契約でなくとも、これに類する契約であれば経過措置の対象となります。 これに類する契約として定められているものとしては、測量、地質調査、工事(製造を含む)の施工に関する調査、企画、立案及び監理並びに設計、映画の制作、ソフトウェアの開発、その他(修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、検査・検定等の事務処理、市場調査)に係る契約となっています。 A社さんの契約はソフトウェアの受託開発なので該当する可能性がありますね。検討の価値ありです。   ―ゲームのアプリ開発もしているけれど?― アプリの開発も上記ソフトウェア開発に含めて差し支えないものと考えます。 ただし、対象となる請負契約は、①仕事の完成に長期間を要し、かつ、②仕事の目的物の引渡しが一括して行われるもので、③仕事の内容につき相手方の注文が付されていること、が要件とされています。ソフトウェア開発もそうですが、その他の要件も含めてクリアになっているか個々に検討の上、判断することになります。   ―外注さんのB社に一部開発をお願いしているんだけど…― 経過措置は、A社さんとお客さんとの契約についてだけではなく、A社さんと外注先のB社さんとの間の請負契約についても適用されます。 しかし、指定日(平成25年10月1日)間際になってA社さんがソフトウェア開発を受託したために、外注先のB社さんとの契約が指定日(平成25年10月1日)以後になってしまった場合には、引渡しの日との関係で、売上に関しては5%、外注費は8%の税率適用ということになる可能性がありますので、外注契約の締結時期についても注意してください。   さて、消費税の注意点はいかがだったでしょうか? いずれにしても新税率の適用は税務・会計の収益認識基準や方針に密接に関係することになりますし、経過措置には例外規定もあります。契約を締結する際には、ぜひ専門家に相談してみてください。


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