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「ステマ規制」施行から約半年、とりあえずPR表記を付ければOK?

2024/04/12

本年パートナーに就任しました、弁護士の貝原です!

今年も半蔵門・千鳥ヶ淵付近にある弊所オフィスからは桜がよく見える季節となりました。皇居は自然も多いことから、メジロやオナガといった野鳥を見かけることもあり、動物好きの私としては桜とともに野鳥も見られる良い季節です。

 

さて、今回はステマ規制についてのお話です。

2023年3月28日に「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(以下「運用基準」といいます。)が公表され、2023年10月1日からステルスマーケティング(ステマ)は景品表示法違反となりました。

上記運用基準が公表されてから1年、ステマが景表法違反となってから半年経ちましたが、まだまだスタートアップやベンチャーの皆様からお問い合わせを受けることも多い状況です。

1.ステルスマーケティングとは

上記運用基準の元となる内閣府の告示において、ステルスマーケティング(内閣府の告示では、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」と定められています。)とは、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であるにもかかわらず、事業者の表示であることを明瞭にしないことなどにより、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難となる表示と定義されています。

そのため、実際には事業者による自社の商品やサービスについての宣伝であるにもかかわらず、それを伏せることなどにより、事業者による宣伝であることが不明瞭となるような表示は景表法違反となる可能性があり、注意が必要です。

典型的には、事業者がインフルエンサーに対して自社の商品やサービスについてのSNSへの投稿を依頼し、インフルエンサーがPR表記等なく宣伝を行う場合が景表法違反となる可能性のある表示となります。

2.インフルエンサーはステマ規制の対象外

ステマ規制はインフルエンサーが注意しなければならない規制であると言われることがありますが、あくまで、ステマ規制の対象は、商品やサービスを提供する事業者が行う表示(景表法第2条第4項)です。そのため、事業者に当たらないインフルエンサーは、ステマ規制の対象外となります。

他方、事業者としては、SNSへの投稿を依頼したインフルエンサーがステマ規制に反する表示をした場合に、責任を問われる可能性がある点に注意が必要です。

3.とりあえずPR表記を付ければOK?

これもよくある誤解ですが、とりあえずPR表記を付けておけばステマ規制に違反しないかというと、そうでもありません。

SNSの投稿の中には大量のハッシュタグとともにPR表記が付けられているものも珍しくありませんが、「事業者の表示であることを他の情報に紛れ込ませる場合(例えば、SNSの投稿において、大量のハッシュタグを付した文章の記載の中に当該事業者の表示である旨の表示を埋もれさせる場合)」は、事業者の表示であることが不明瞭な方法で記載されているものの例示として定められており(運用基準8頁)、景表法違反となる可能性があるため注意が必要です。

4.まとめ

以上、ステマ規制のよくある誤解について簡単にまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。ステマ規制については、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準に記載されているケースもありますが、記載されていないケースや記載されていてもその解釈が不明確であるケースについては注意が必要ですので、ご不安な点がある場合にはお気軽にご相談ください。

執筆者
AZX Professionals Group
弁護士 パートナー
貝原 怜太
Kaihara, Ryota
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