弁護士の貝原です。
昨今問題視されていたECやサブスクのサービス等で見られるダークパターンですが、消費者庁がダークパターンの規制を強める方向で法改正を検討していることが分かりました。
目次
1.現行法ではダークパターン自体は規制されていない
そもそもダークパターンとは、ウェブサイトにおいて「何かを購入したり署名させるなど、意図しないことをさせるウェブサイト又はアプリで用いられるトリック」との定義があります。このようなダークパターンについて、ユーザーとしては迷惑に感じることがあるとしても、ダークパターン自体が法的に規制されているわけではなく、ダークパターンの内容によっては既存の法令違反になる場合があるものでした。
2.現行法で規制されるダークパターン
例えば、以下のようなダークパターンは、それぞれ違法となる場合があります。
不当参照価格

上記のような不当参照価格は、商品等の内容や取引条件に関する表示や表示全体の態様によっては、優良誤認・有利誤認表示の規制が及ぶ可能性があり、景品表示法に違反する場合があります。
No.1表示/高満足度
また、No.1/高満足度表示については、合理的な根拠に基づかず、事実と異なる場合には、優良誤認・有利誤認表示の規制が及ぶ可能性があり、景品表示法に違反する場合があります。
お客様の声
その他、広告であるにもかかわらず広告であることが分からない表示(ステルスマーケティング)は不当表示として禁止されているため、景品表示法に違反する場合があります。
【関連記事】
ステルスマーケティングの規制概要や実務上の注意点については、以下の過去記事にて詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
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キャンセル困難
しかし、サブスクを解約しようとした場合に、その解約の手続に手間がかかるなど、キャンセルが困難となるような設計については、2026年8月時点の現行法上直ちに違法となるものではありません。
3.特定商取引法に関する中間とりまとめ(案)
このような中、2026年8月24日、デジタル取引・特定商取引法等検討会から「デジタル取引・特定商取引法等検討会中間取りまとめ(案)」が公表されました。
中間とりまとめ(案)では、例えばテキストのみのやり取りになるEC等の通信販売についても内容によっては、特定商取引法上の電話勧誘販売と共通する性質を有していると指摘し、「不意打ち性や誘引性は、通信手段が音声による通話であるか文字等であるかによって本質的に異なるものではなく、通信手段の違いのみを理由として、消費者保護の水準が低下することは適当ではない。」等として、電話勧誘販売と同等の規律を講ずることを基本とすべきであるとの見解が示されています(中間とりまとめ(案)6頁)。そのため、今後の法改正の内容次第では、EC等の通信販売であってもクーリングオフへの対応をしなければ、特定商取引法上問題となる可能性があります。
また、「解約手続妨害への対応」として、「主にオンライン上の表示・UIの設計・運用の高度化等に由来する論点(ダークパターン等)として、解約手続を不当に遅延させる行為や、契約手続に比して合理的理由なく過度に複雑な解約手続を課す行為について、取引慣行も踏まえつつ、違法行為として規律の対象とすべきである。」との見解が示されています(中間とりまとめ(案)13頁)。そのため、今後の法改正の内容次第では、上記のキャンセルが困難となるような設計についても特定商取引法上問題となる可能性があります。
4.まとめ
以上の通り、比較的珍しくないECやサブスクの設計内容であっても、今後は特定商取引法上問題となる場合が増えてくる可能性があるため、引き続き同法の改正状況については注意が必要であると考えます。スタートアップの皆様においても、サービスの重要な設計内容については、現行法に対応することは当然としつつ、今後の法改正も含めて先回りして対応しておくことも考えられます。
AZXでは、新規のサービス内容の設計やビジネスモデル審査、利用規約の作成等を日常的に取り扱っておりますので、ECやサブスクなどのリリースを検討されている方はお気軽にご相談下さい。
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