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【2024年11月1日施行予定】フリーランス保護法のポイントを確認!―関連細則やガイドライン(案)の公表を受けて―

2024/05/01

弁護士の平井宏典です!
早いものでAZXにジョインしてから8年以上経ち、パートナーに就任して3年目を迎えました。自分の中では今年は情報発信の年にしていきたいと思いますので、ブログも継続的に投稿していきたいと思います!

さて、今回は、2024年11月1日に施行予定の「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(以下「フリーランス保護法」といいます。)の関連細則やガイドラインの案が4月12日に公表されましたので、フリーランス保護法のポイントについて、新たに公表された関連細則やガイドラインを踏まえて概観したいと思います(詳細はこちら[1]

ちなみに、4月12日は私の大好きな名探偵コナンの映画が公開された日でもありまして、当然公開初日に観に行ってきました!今年も例に漏れず、原作の漫画では明かされていない衝撃事実が映画で明かされましたので、今から来年の次回作も待ち遠しいです!

1.フリーランス保護法の適用範囲

フリーランス保護法は、発注事業者とフリーランスとの間の業務委託に係るBtoBの取引に適用されます。

【出典】『リーフレットNo.13』(令和6年2月 内閣官房ほか)1頁
https://www.mhlw.go.jp/content/001206833.pdf


フリーランス保護法の適用対象となる「特定受託事業者」(フリーランス)とは、業務委託の相手方である事業者であって、①個人又は②代表者以外の他の役員がいない会社で、かつ、従業員を使用しないものをいいます(同法第2条第1項)。そのため、「従業員を使用」とはどのような場合を指すのかを理解することが重要です。この点については、今回公表されたガイドライン(案)(第1部の1(1)(3頁))で明らかにされました。

「従業員を使用」とは、①1週間の所定労働が20時間以上であり、かつ、②継続して31日以上の雇用が見込まれる労働者[2]を雇用することをいいます。

但し、雇用をしていない場合であっても、労働者派遣法第2条第4号規定の派遣先として、①1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ、②継続して31日以上労働者派遣の役務の提供を受けることが見込まれる派遣労働者を受け入れる場合には、「従業員を使用」に該当することとされていますので、留意する必要があります。

なお、同居親族のみを使用している場合には、「従業員を使用」には該当しません。

2.フリーランス保護法の規制の概要

フリーランス保護法は、日本における働き方の多様化の進展に鑑みて、個人の方が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備することを目的として制定された法律であるため、発注事業者(業務委託事業者)に対して、取引の適正化等に関する一定の義務を課しています。

フリーランス保護法の規制は、(ⅰ)業務委託事業者(フリーランスに業務委託を行うすべての発注事業者)に対する規制、(ⅱ)特定業務委託事業者(業務委託事業者のうち、①個人であって、従業員を使用するもの、又は②法人であって、二以上の役員があり、若しくは従業員を使用するもの)に対する規制及び(ⅲ)特定業務委託事業者であって、かつ、業務委託の期間が一定の期間以上である者(詳細は後述します。)に対する規制の3段階に分けることができます。

具体的には、以下の図のとおりです。

【出典】『リーフレットNo.13』(令和6年2月 内閣官房ほか)2頁
https://www.mhlw.go.jp/content/001206833.pdf

(1) 特定業務委託事業者の遵守事項等(法第5条、第13条、第16条)の対象となる業務委託の期間

上記(ⅲ)特定業務委託事業者であって、かつ、業務委託の期間が一定の期間以上である者については、当該期間が一定の期間未満である者に比べて、より重たい規制が課されることがフリーランス保護法第5条(特定業務委託事業者の遵守事項)、第13条(妊娠、出産若しくは育児又は介護に対する配慮)及び第16条(解除等の予告)において明らかになっていたため、当該「一定の期間」が具体的にどの程度の期間になるかについては注目されていました。

そしてこの度、当該「一定の期間」について、(ⅰ)同法第5条の取引適正化に関する規制の対象となる業務委託の期間については「1ヶ月」であることが、(ⅱ) 同法第13条及び第16条の育児介護等の配慮、解除等の予告の対象となる業務委託の期間については「6ヶ月」であることが、それぞれ今回公表された施行令(案)で明らかになりました。

この業務委託の期間の「1ヶ月」又は「6ヶ月」をどのように算定するかは、フリーランス保護法上の規制を課されるとしても、その規制内容が軽いのか(上記(ⅱ)に該当するのか)、それとも重いのか(上記(ⅲ)に該当するのか)に関わってくるため、非常に重要な論点となります。具体的な算定方法は、ガイドライン(案)(第2部の第2の2(1)(25頁~28頁)及び第3部の2(41頁))において、契約を更新する場合や基本契約と個別契約の双方を締結している場合など、具体的な場面ごとに解説されています。

(2) 取引条件の明示義務(法第3条)における明示事項とその方法

上記(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)の全ての発注事業者は、特定受託事業者(フリーランス)に対し業務委託をした場合は、直ちに、以下の事項を、書面又は電磁的方法(※2)により特定受託事業者(フリーランス)に対し明示することが義務付けられています(同法第3条第1項)。

  • 給付の内容(委託する業務の内容)
  • 報酬の額
  • 支払期日
  • 公正取引委員会規則で定めるその他の事項(※1)

※1 公正取引委員会関係の法施行規則(案)第1条第1項各号、第3項及び第4項、第3条、第4条、第6条

※2 業務委託事業者は、下請法とは異なり、自らの選択により、フリーランス保護法第3条に定める取引条件の明示を電磁的方法によって行うことができます。
電磁的方法については、電子メールのほか、ショートメッセージやSNSのメッセージ機能等のうち、送信者が受信者を特定して送信する方法も認められることが明確になりました(公正取引委員会関係の同法施行規則(案)第2条第1項第1号、ガイドライン(案)第2部の第1の1(5)イ(ア)(15頁~16頁))。

3.まとめ

以上、フリーランス保護法の要点について、公表された関連細則やガイドラインを踏まえて簡単にまとめてみましたが、いかがでしょうか。フリーランス保護法は、多くのBtoB取引に関わるものであり、今年の11月1日の施行までには、現在締結している契約書の変更や現在使っている契約書の雛型の改訂等も検討する必要がありますので注意が必要です。弊所でのサポートが必要な場合やご不明な点があればお気軽にご連絡ください!

【脚注】

[1]2024年4月12日に公表されたのは、フリーランス保護法の施行令、施行規則、指針及び考え方の案であり、現状は、これらに対するパブリックコメントが開始された状況です。

[2]「労働者」とは、労働基準法第9条に規定する労働者をいうとされており、具体的には、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」が「労働者」に該当します。

執筆者
AZX Professionals Group
弁護士 パートナー
平井 宏典
Hirai, Kosuke
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