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2026春、AIルールを乗りこなせ!AIビジネスの差がつくポイント

新法からビジネスを考える」のシリーズでは、新たなルールの動向を分析し、そこからどのようなビジネスチャンスが生まれ得るのかを実験的に考察しています。
AIを活用したスタートアップは次々と誕生していますが、真に差がつくポイントはどこにあるのでしょうか。AIに関するルール整備のトレンドから、そのヒントを探ってみたいと思います。

1.AI関連のガイドライン整備の進展

AI関連のガイドラインやガイドブックは次々と公表されています。とりわけ、AI法[1]が2025年に施行されて以降、その動きは一段と加速し、全体を把握するのも一苦労です。
内閣府が各府省庁等のガイドライン等を一覧化してくれているのですが、更新が追い付いていません。

例えば、2025年12月以降に公表されたものだけを見ても、以下のようなガイドライン等が存在します。

項目

日付

概要

人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針

2025年12月19日

AIの研究開発や活用の適正性確保のために必要な要素を整理

人工知能基本計画

2025年12月23日

AIイノベーション推進の国家戦略の方向性を大きく示す基本計画

自治体におけるAI活用・導入ガイドブック(第4版)

2025年12月16日

自治体がAIを導入するときのプロセス等を詳説したガイドブック

生成AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード(仮称)

2025年12月26日(案の公表)

知的財産権の保護等に関して、生成AI事業者が遵守するべきルールを提示

AIのセキュリティ確保のための 技術的対策に係るガイドライン (第4版)

2025年12月26日(案の公表)

AIのセキュリティ確保に関する「脅威」とその「対策」を例示的に紹介

AI 利活用における民事責任の解釈適用に関する手引き〔第 1.0 版〕

2026年2月18日(案の公表)

AI利活用に伴い第三者に損害が生じた場合の民事責任について、現行法の解釈適用の方向性を類型的に整理

2.「生成AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード(仮称)」のご紹介

AI関連のルール整備のトレンドを読み解く上で、「生成AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード(仮称)」はとりわけ示唆に富む文書です。
本プリンシプル・コードでは、以下の3つの「原則」が掲げられています。加えて、全体を貫く考え方として「コンプライ・オア・エクスプレイン」という大原則が据えられている点が、最大の特徴といえるでしょう。

① 生成AIの使用モデル等に関する開示を行う原則

② 権利者からの開示要求に応じる原則

③ 生成AIの利用者からの開示要求に応じる原則

「コンプライ・オア・エクスプレイン」の下では、これら3つの原則をすべて厳格に遵守(コンプライ)する義務はなく、遵守しない場合でも、合理的な理由を明確に説明(エクスプレイン)する責任を果たせば良いという整理になっています。そもそもこのプリンシプル・コード自体に法的拘束力はないため、民間のAI事業者がこれらの原則を守らなかったとしても、直接的な法的ペナルティが科されることはありません。

このような法的拘束力を伴わないルール(ソフトロー)には意味があるのか、という疑問が生じるかもしれません。しかし、合理的な理由もなく原則を無視する民間事業者は、市場の中で淘汰される可能性があるという前提のもと、最終的には原則の遵守を促すインセンティブが自然と働く仕組みになっています。

 

3.スタートアップにとっての差がつくポイント

AI関連のガイドラインは、今後も次々と公表されていくでしょう。しかし、そのすべてに法的拘束力があるわけではありませんし、スタートアップが直ちに完璧な遵守体制を整えることも現実的ではありません。

そもそも、AI利活用を推進する政策の下で、すべてのガイドラインを一律に守ることだけが期待されているわけではありません。重要なのは、「守っているかどうか」以上に、「なぜその対応をしているのか」・「なぜ現時点では対応していないのか」を合理的に説明できることです。

すべてを一気に実装することは難しくても、管理体制の整備やリスクの洗い出しなど、段階的に進めるべき事項はあります。いつまでに何を整備するのか、自社のリソースと成長フェーズを踏まえて戦略的に設計することが重要です。

 

セキュリティ、知的財産、プライバシー、どれをどの水準で優先するかは、事業モデルや市場環境によって異なりますし、正解が明示されているわけではありません。

だからこそ、合理的な説明ができるかどうかが、信頼を獲得できるかどうかの分かれ目になります。
AI時代の競争優位は、技術力だけでなく、「説明可能なガバナンス」によっても決まるのです。

【脚注】

[1] 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(令和七年法律第五十三号)


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執筆者
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我有 隆司
Gau, Ryuji
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高橋 知洋
Takahashi, Tomohiro
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横田 隼
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