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「連絡が取れない作品」も利用可能に?新制度「未管理著作物裁定制度」のポイント

2026/03/11

こんにちは。筋肉系ワイン弁護士の小澤です。

デジタル時代の到来により、SNSやブログ上の素敵な写真やイラストを「自分のコンテンツで使いたい」と考える機会が増えています。しかし、制作者に連絡をしても返信がない、あるいは連絡先すら分からないというケースも少なくありません。

これまでは、こうした「権利者不明」の作品利用には高いハードルがありましたが、令和8年4月より「未管理著作物裁定制度」(著作権法第67条の3)が始まり、著作物の利活用が大きく変わります。

※なお、同趣旨の制度として、「権利者不明の場合の裁定制度」(著作権法第67条)がありますが、制度の利用に当たって権利者の探索コストを要する 「権利者不明の場合の裁定制度」だけでは、必ずしも円滑な著作物等の利用に結び付かないという課題が指摘されていたことから、新制度創設に至っております。

今回は、クリエイターと利用者の双方が知っておくべき、新制度の5つのポイントを解説します。

1.「未管理著作物裁定制度」とは

これまでは、権利者と連絡がつかない著作物を利用する場合、文化庁長官の裁定を受けるまでに1〜2カ月(場合によってはそれ以上)もの時間を要していました。

新制度では、文化庁が指定する「窓口組織」が申請を受け付け、より迅速に利用の可否を判断します。適切な「補償金」を支払うことで、最長3年間(更新可)その著作物を利用できるようになります。

2.対象になるのはどんな著作物?

主に、①著作権管理団体(JASRACなど)によって管理されておらず、②権利者の利用の可否に係る意思が確認できない、③公表された著作物が対象です。具体的には、以下の場合には②の要件を満たすとされています。

  • 「無断転載禁止」などの利用可否又は利用ルールの表示がない場合
  • 利用申込みを受け付けるための連絡先が明示されていない場合
  • 連絡先(2以上の連絡先を取得した場合は少なくとも2つ)に利用を希望をする旨を明示して問い合わせても、14日間返信がない場合(※)

(※「権利者不明の場合の裁定制度」ではこの場合は対象とされていませんでしたが、本制度では「意思確認不能」とみなされ、対象となります。)

3.権利者は後から「使用料」を受け取れる?

「自分の作品が勝手に使われて損をするのでは?」と心配されるかもしれませんが、ご安心ください。 権利者が後から名乗り出た場合、一定の措置を講じることで文化庁に対して裁定の取り消しを求めることができます。また、それまでに行われた利用の対価(補償金相当額)を遡って受け取ることが可能です。取消後の利用については、権利者と利用者との協議によることとなります。

4.「勝手に使われたくない」場合の対策は?

自分の作品をこの制度の対象にさせたくない場合は、「意思表示」を明確にすることが最も重要です。具体的には以下の対応が考えられます。

  • プロフィール欄や作品の近くに「無断転載禁止」「利用の際はDMを」と記載する。
  • 利用申込みを受け付けるための問い合わせ先を明記しておく。 これだけで、「未管理」とはみなされず、裁定制度の対象外となります。

※単にメールアドレス、電話番号、住所等のみが記載されている場合(利用申込みの受付先として明示しない場合)や国外の連絡先しか記載されていない場合には、未管理著作物裁定制度の対象外となります。

5.クリエイターを支える新しい仕組み

文化庁は、権利者探索を効率化するものとして、以下の2つのシステムの運用を開始しています。

①分野横断権利情報検索システム (分野横断検索システム)
②個人クリエイター等権利情報登録システム (個人クリエイターシステム)

特に②に登録しておけば、利用希望者がクリエイターを探しやすくなり、無断で裁定にかけられるリスクを減らせます。また、支払われた補償金の一部は、著作権保護や創作振興の事業にも役立てられる仕組みになっています。

 

今回の法改正は、埋もれている名作に光を当て、コンテンツ市場を活性化させる画期的なものです。 利用者側は、ルールを守ればスピーディーに作品を活用できるようになり、クリエイター側は、適切な意思表示と情報登録を行うことで、自身の権利をより強固に守ることができます。

「この作品を使いたいけれど、連絡が取れなくて困っている」「自分の作品がどう扱われるのか不安だ」といったご相談があれば、ぜひ当事務所までお問い合わせください。

 


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執筆者
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