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公取委が指摘!競業避止義務の問題点と今後の対応

2026/03/02

弁護士の貝原です!

エンターテインメント業界など、一定の業界でよく見かける競業避止義務ですが、前回の「競業避止義務を定める際の注意点【その2】禁止行為の範囲・期間・地域的限定を解説」に続き、今回も競業避止義務について解説したいと思います。

昨年12月に公正取引委員会から「ライバー事務所を運営する事業者に対する注意について」(以下「本件注意」といいます。)が公表されました。

上記の本件注意は、特定のライブ配信プラットフォームにおいて取引額が上位となる4社のライバー事務所に対し、ライバーに課された競業避止義務についてなされたものであり、ライバー関係のビジネスを行っているスタートアップだけでなく、芸能事務所や声優事務所などエンターテインメント業界の各事務所が留意すべき内容となり得るものです。

今回は本件注意の内容を見ていきながら、これを踏まえた今後の留意事項について解説します。

1.本件注意の概要

本件注意は、ライバー事務所に対し、ライバーに課された競業避止義務についてなされたものです。本件注意におけるライバー事務所は、以下の競業避止義務に関する条項の全部又は一部をマネジメント契約に定め、契約終了後におけるライバーの活動を制限していました。

(ア) ライブ配信活動を行うことの禁止

(イ) 他のライバー事務所との間でマネジメント契約を締結することの禁止

(ウ) 自社と同種の事業を営むことの禁止

※マネジメント契約終了後も一定期間各義務が継続

上記の各義務について、公正取引委員会は以下の理由により、独占禁止法の規定[i]の違反につながるおそれがあるものとして、注意を行いました。

①営業秘密等の漏えい防止の目的の達成のために合理的な必要性かつ手段の相当性が認められない

②他のライバー事務所がより人気のあるライバーを容易に獲得できなくなる

③所属ライバーが契約終了後新たにライバー事務所を立ち上げることが困難になる等の効果が生じる可能性がある

2.本件注意を踏まえた留意点

本件注意を踏まえると、今回問題となったライバー事務所が活動しているプラットフォームだけでなく、他の配信プラットフォームで活動している事務所においてもマネジメント契約に競業避止義務が定められているか(定められている場合はどのような内容であるか)確認及び見直しの検討が必要になると考えます。

また、本件注意が公表された背景には、昨年9月に内閣官房及び公正取引委員会から公表された「実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針」(以下「本件指針」といいます。)があるものと考えられます。そのため、ライバー関係のビジネスを行っているスタートアップだけでなく、芸能事務所や声優事務所などエンターテインメント業界の各事務所は本件指針についても配慮する必要があります。

本件指針の11ページでは、競業避止義務について、以下のように定められています。


【出典】実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針(公正取引委員会)

上記の通り、原則として競業避止義務等を規定しないことが求められており、今後マネジメント契約における競業避止義務の取扱いにはより慎重にならなければならない状況であると言えます。

3.まとめ

以上、競業避止義務の問題点と今後の対応につきまして、いかがでしたでしょうか。競業避止義務はタレントや演者に対する制約が強い内容であり、紛争となることも珍しくありませんでしたが、ついに公正取引委員会から上記の本件指針や本件注意が公表されたのが昨年の後半の動きでした。

2026年において公正取引委員会から本件注意と同種の注意は2月時点では公表されていませんが、今後も同様の注意がなされないか注視する必要があると考えます。

私自身、スタートアップだけでなく、芸能事務所や声優事務所の契約書に定められている競業避止義務等についてのアドバイスを求められることも珍しくなく、競業避止義務が定められている契約書も少なくないのが実務上の感覚かもしれません。

AZXでは競業避止義務を含む契約(マネジメント契約等)についてのご相談を日常的に取り扱っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

次回は本件指針の内容に入りつつ、違約金、芸名、SNSに関する規定等についても解説したいと思います。

【脚注】

[i] 独占禁止法第19条(不公正な取引方法第12項(拘束条件付取引)又は第14項(競争者に対する取引妨害))

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執筆者
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