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CVC投資の全体像を掴む|戦略リターン・財務リターンの重要性と法務の視点

2026/05/07

こんにちは!弁護士業以外にブラジリアン柔術と釣りにハマっている石田です。

先日、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)に関する書籍である『実効CVC ― 事業計画評価から設計・契約・成果まで』(中央経済社)を出版しました!CVCがスタートアップ業界の成長の重要なキープレーヤーの一人だと考えており、案件だけでなく、CVCに関する勉強会等を定期的に開催、参加しているのですが、これらの活動の一つの成果として上記書籍を出版することができました。

そんな訳で(どんな訳で?(笑))、今回はCVCの概要、留意点について解説します。

CVCの概要・留意点

近年、事業会社におけるオープンイノベーションの一形態として、CVCによるスタートアップ投資への関心が高く、実際に、上場又は非上場、規模の大小を問わず、多くの事業会社にてCVCの運用がなされています。

スタートアップ投資の目的には、大別して、①戦略リターンの獲得(業務提携等により事業シナジーを生み出すこと)と②財務リターンの獲得(エグジットを通じて売却益を得ること)の2つがあります。CVCの場合には、双方の獲得を目指しますが、とりわけ戦略リターンの追求を主目的としつつ、「戦略リターンのみでよいか」、「財務リターンの獲得も重要ではないか」といった問題意識が持たれることが多いです。一方で、独立系VC(ベンチャー・キャピタル)の場合、特段の事情がない限り、その投資家である機関投資家等に対し収益分配を行うため、財務リターンの獲得のみを目的としています。

戦略リターンについて

CVCは、戦略リターンとして、スタートアップとの協業活動から得られる技術、ノウハウ、情報を通じて事業シナジーの創出を目指します。この協業活動には、スタートアップの顧客となり製品やサービスを購入する形式(いわゆるベンチャークライアントモデル(VCM))、技術検証(PoC)契約や共同研究開発契約等の業務提携の形式があります。

協業活動の形式、内容により、戦略リターンを確保する態様は異なってきますが、知的財産権や秘密情報の取扱いは、事業会社、スタートアップ双方にとって重要です。

財務リターンについて

スタートアップ投資における財務リターンの確保は、投資契約の各条項によって担保されることになります。前提として、スタートアップ投資は、スタートアップの成長可能性に期待したハイリスク・ハイリターンな投資であり、また、マイノリティ出資(議決権の過半数を取得しない形での出資)となることを理解することが重要となります。その上で、以下の観点での検討が求められます。

  • 投資ストラクチャ(事業会社本体から直接出資するか、ファンドを組成するかなど)
  • 投資手法(普通株式か優先株式かJ-KISS等か)
  • 投資契約(表明保証、事前承認事項、株式買取請求権など)

 

今回はCVCの概要と留意点について記載しましたが、上記のスタートアップ投資の契約実務、VCM、業務提携を含めたオープンイノベーション契約については、前掲『実効CVC ― 事業計画評価から設計・契約・成果まで』にて解説しております。CVCの立ち上げや見直しを検討されている法務・経営企画ご担当者の方々は、お手に取って頂けますと幸いです。

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執筆者
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石田 学
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伊藤 知己
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