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【2026年版】創業株主間契約の傾向と対策|雛形を活用した契約書作成のコツ

2026/07/03

弁護士の貝原です。
以前に創業株主間契約についてブログを書きましたが、今回は2026年の創業株主間契約の傾向と対策についてお話しします。

1.2026年の創業株主間契約の傾向

年々感じることですが、創業株主間契約を聞いたことがないという起業家、スタートアップの方はかなり少なくなっており、最近ではどういった創業株主間契約を締結すればよいのか、また、それをどのように作成すればよいのかといった具体的な課題にシフトしています。

なお、創業株主間契約について基本的なことを知りたいという方は、過去のブログ『起業家が最初にやるべき「創業株主間契約」とは?【その1】』も併せてご覧下さい。

2.2026年の創業株主間契約の対策

(1)創業株主間契約を締結する前に検討すべきこと

では、「どういった創業株主間契約を締結すればよいのか」という話の前に、そもそも創業株主間契約を締結して株式を譲渡すべきなのかという点についても検討が必要です(意外とこの検討が漏れている方も少なくありません。)。

創業株主間契約を締結する場合、前提としてその相手方は株式を保有していることとなりますが、創業メンバーの一人であり既に株式を保有しているのであればともかく、これから株式を譲渡して創業株主間契約を締結しようとしている場合には、他の方法(ストックオプションなどのインセンティブプラン)の方がより適切ではないか検討すべきです。株式はストックオプションとは異なり、一度譲渡してしまうと何らかのトラブルが発生した場合に取り返すことが難しく、創業株主間契約があれば一定の対応は可能であるものの、それでもあらゆるリスクに対応できるものではありません。そのため、株式を誰に譲渡するかは相当慎重に判断すべきであり、親の顔が見えるくらい本当によく知っている相手くらいの方でなければ株式を渡さない方が良いといった意見を耳にしたこともあります。

(2)どういった創業株主間契約を締結すればよいか

それでは、創業株主間契約を締結することは決まったとして、どのような創業株主間契約を締結すればよいかは、創業者とその相手方の状況によって異なります。例えば、以下のような場合が考えられます(いずれも一例であり、絶対のものではなく、ベスティングドラッグアロングライト等のアレンジも考えられます。)。

①創業者である社長が90%以上の株式を保有しており、数%~10%程度の株式を相手方が保有する場合

(i)その相手方が退職した場合には、保有している株式の全部を社長に返すこと

(ii)株式を返す際の対価は、株式を譲り受けた対価と同額とすること

②創業者が2名おり、両者ともに同等程度の株式を保有する場合

(i)自分が退職した場合には、保有している株式の全部を相手方に譲渡すること

(ii)株式を譲渡する際の対価は、株式を取得した金額(主に会社設立時の株価)と同額とすること

③創業者である社長が過半数の株式を保有しているものの、株式を譲り受ける相手方が数十%程度の株式を保有する場合

(i)その相手方が退職した場合には、保有している株式の全部又は一部を社長に返すこと

(ii)株式を返す際の対価は、株式を譲り受けた対価と同額とすること(又は時価とすること)

(iii)会社がM&Aを行う場合には、社長の指示に従うこと(ドラッグアロングライト)

(3)どのように作成すればよいのか

上記(2)で述べた各創業株主間契約について、弁護士など専門家に相談して該当の契約書を作成するのがベストではありますが、創業初期は会社の資金も限られているため、社内で作成することも珍しくありません。社内で作成する場合については、弊所の創業株主間契約(創業メンバー株主間契約書)の雛形を叩き台として以下の方法で作成することが考えられます。

①創業者である社長が90%以上の株式を保有しており、数%~10%程度の株式を相手方が保有する場合

概ね上記雛形をそのまま締結することが考えられます。

②創業者が2名おり、両者ともに同等程度の株式を保有する場合

上記雛形の第2条「地位喪失による株式譲渡」を相互に退職した場合に適用できるよう一定の修正が必要です。ただし、簡易的には上記雛形の「役職員株主」と「経営株主」に記載する当事者を入れ替えて2通の創業株主間契約を締結することも考えられます。

③創業者である社長が過半数の株式を保有しているものの、株式を譲り受ける相手方が数十%程度の株式を保有する場合

上記雛形をベースとしつつ、株式譲渡の対価を時価とする場合には、第2条「地位喪失による株式譲渡」第2項の「役職員株主による当該本保有株式の1株あたりの取得の価額」を「時価」に修正すること及び時価の決定方法を定めることが考えられます(例えば、第三者の株価算定の内容に従うこと等。)。

また、会社についてM&Aが発生した場合には、社長の指示に従って保有する株式を譲渡すること等のドラッグアロングライトを追記することが考えられます。

3.まとめ

以上、2026年の創業株主間契約についていかがでしたでしょうか。創業株主間契約はスタートアップにとって重要な契約書であるため、できれば弁護士などの専門家に相談すべきですが、社内で作成する場合については、弊所の創業株主間契約の雛形を叩き台として作成することで一定程度は対応可能な場合もあると考えます。

なお、創業株主間契約についてより詳しく知りたい方は、以下の内容もご参照頂けますと幸いです。

■過去のブログ

・起業家が最初にやるべき「創業株主間契約」とは?
【その1】内容や締結時期を分かりやすく解説
【その2】退任後の株式処理や譲渡の対価を初心者向けに解説
【その3】株式譲渡請求権への手続協力義務と強制売却権
【その4】株式の譲渡禁止等、実際に創業者が退職した場合の対応


■YouTube

【起業】株の引継ぎトラブルに注意/創業株主間契約を詳しく解説【スタートアップ法律相談所 vol.07】


■書籍

・拙稿「創業株主間契約」(菅原稔ほか編著『スタートアップの法律相談』〔青林書院、2023年〕8頁)


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