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【規制緩和×規制強化】改正個人情報保護法が成立!AIスタートアップが押さえるべき両側面

2026/08/31

AZX石田です。個人情報保護法[1]改正によりAI開発、データ利活用のために個人データを収集する際の同意要件が緩和されるとの各メディアでの報道に触れられ、同法の改正につきご存知な方もいらっしゃるかもしれません。先日の平井弁護士のブログでも個人情報保護法の改正の概要につき解説しておりますが、2026年7月に改正法が成立し、施行されたため、改めて当該改正につき記載するものです。

特に、AI開発やデータ利活用を積極的に進めるスタートアップにおいては、事業を左右する重要な改正事項だと思っておりますので、ご一読頂けますと幸いです。本ブログは、本ブログ公開日時点の情報を基に記載したものであり、今後の政省令、ガイドラインの改正動向も注視していく必要があります。

1.概要・概況

AI開発等において個人情報を含むデータの利活用に対する需要が高まる一方で、個人の権利利益が害されるリスクも高まるため、個人の権利利益の適切な保護を図るとともに、AI活用にも資する円滑なデータ連携を促進することを目的として、改正されたものです。

改正法は2026年7月10日に成立し、同月17日に公布されました。原則として公布日から2年以内に施行されるとされていますので、直ちに対応しなければならないものではありませんが、後述のようにAIスタートアップにとって影響が大きい改正事項であるため、現時点でその概要だけも把握しておくことが重要と考えます。

2.改正内容

(1)改正項目について

以下の4つから構成されます。

1.適正なデータ利活用の推進

2.リスクに適切に対応した規律

3.不適正利用等防止

4.規律遵守の実効性確保のための規律

(2)各項目の内容

各改正項目の内容については、平井弁護士の上記ブログもご参照下さい。また、個人情報保護委員会作成の資料も端的にまとめられており分かりやすいため、そちらもご参照下さい。以下に該当頁を抜粋します。

個人情報保護委員会事務局「個人情報保護法等の一部を改正する法律について(令和8年7月)」6頁

(3)改正の要点

重要なのは、①本人同意義務の免除等の規制緩和の側面がある一方、②子供の個人情報、顔特徴データ等に係る規律の新設、法令遵守の実効性を高めるためのペナルティ強化等の規制強化の側面がある点です。誤解を恐れず、そしてやや乱暴に表現すると、「適正なデータ利活用の推進」が規制緩和で、これ以外は規制強化です。以下特に留意すべき事項について記載します。

①規制緩和について

  • 統計情報等の作成(AI開発等を含みます)にのみ利用される場合、個人データ等の第三者提供及び公開されている要配慮個人情報の取得について本人同意が不要とされます。
  • 取得の状況からみて本人の意思に反しないため本人の権利利益を害しないことが明らかな目的外利用や第三者提供等についても、本人同意が不要とされます。
  • これらにより、AIスタートアップにとって適法な情報取得が容易になるものと考えます。

②規制強化について

  • 「リスクに適切に対応した規律」との関係では、16歳未満の子供の個人情報について、同意取得や通知等は法定代理人を対象とすることを明文化し、本人の最善の利益を優先して考慮すべき責務規定が設けられます。顔特徴データ等については、一定の事項の周知が義務化され、オプトアウト制度に基づく第三者提供が禁止されます。
  • 「不適正利用等防止」については、電話番号、住所、メールアドレス、Cookie ID等で、個人情報に該当しないものでも特定の個人に対する働きかけが可能となる情報に関し、不適正利用及び不正取得が禁止されます。オプトアウト制度に基づく第三者提供について提供先の身元及び利用目的の確認が義務化されます。
  • 「規律遵守の実効性確保のための規律」との関係では、個人の権利利益の侵害が切迫している場合など、勧告を経ずに直ちに命令を出せるようになったり、個人情報データベース等の不正提供等罪について「損害を加える目的」の提供行為が追加され、詐欺や不正アクセス等による個人情報の不正取得に対する罰則が新設、法定刑も引き上げられます。また、大量の個人情報(1,000人を基準とする)の取扱いによる悪質な違反行為に対し、得られた財産上の利益等に相当する額の課徴金納付を命ずる制度が導入されます。

3.小括

先日個人情報保護法の改正法が成立、施行されたことから、改めて当該改正の主なポイントを記載しました。対応が煩雑、面倒だと感じられた方もいらっしゃるかもしれませんが、規制緩和というAIスタートアップにとってプラスな面もあります。

これを機に、AIスタートアップを含めたスタートアップに関わる皆様が、データ利活用の円滑化のメリットを把握しつつ、厳格化される規律やペナルティに抵触しないよう、自社のデータ取扱体制の点検・整備に着手頂ければ嬉しい限りです。

注釈

[1] 正式名称は「個人情報の保護に関する法律」です。

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執筆者
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弁護士 パートナー
石田 学
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