債権回収

ベンチャー・スタートアップの方へ

企業において売上金その他の債権を回収することは、企業活動の維持及び発展のために不可欠な「現金」を確保するという意味で極めて重要です。
債権だけ有していても、実際に現金が入ってこなければ、最終的には意味がなく、多くの債権を保有したまま、資金繰りがショートして倒産してしまう例もあります。
売上金その他の債権の回収に支障を来さない相手と取引を行うのが最も安全ですが、想定外に相手方の資金繰りが悪化してしまう場合もあり、また、資金が潤沢な大企業が相手方であるものの契約の解釈の違いや不当な取引の打ち切りなどで入金がストップしてしまう場合もあります。

債権を回収する手順としては、通常は、面談を求めて支払いを督促するところから始まり、交渉が難航した段階で、内容証明郵便等の正式な督促状を送付し、それでも事態が進展しない場合には、①訴訟、②簡易裁判所による督促手続、③訴訟の前提としての仮差押などの法的措置に移行します。

法的措置については弁護士費用等もかかるため、相手方の財務状況等の実際の回収可能性を踏まえて、どこまで進めるべきかを慎重に検討する必要があります。また、訴訟等が完結した後も相手が任意に支払を行わない場合には、強制執行手続を行う必要があります。


AZXでは、クライアントの皆様の債権回収に関して、代理人としての相手方との交渉、内容証明郵便等の送付、訴訟その他の各種法的手続や強制執行手続に関してサポートを行っております。

関連するナレッジ
  • 支払をしてくれない取引先に対して訴訟を提起しようと考えていますが、弁護士に頼まなくてもできますか。現場の担当者に法廷に出席させようと思うのですが。
    訴訟は本人が行うことができます。当事者が法人であれば、その代表者が法人を代表して行うことになります。原則として弁護士でなければ訴訟代理人となることはできませんが(民事訴訟法第54条第1項本文)、支配人であれば会社に代わってその事業に関する一切の裁判上の行為をする権限が法律上与えられています(会社法第11条第1項)。さらに、簡易裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができますので、支配人ではない現場の担当者を訴訟代理人とする許可を得て、訴訟活動をさせることができます(民事訴訟法第54条第1項但書)。
  • 差押えには債務名義が必要と聞きましたが、債務名義とは何ですか。
    差押をするために必要な債務名義には、確定判決、仮執行宣言付き判決、抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判、仮執行の宣言を付した損害賠償命令、仮執行宣言付き支払督促、訴訟費用等の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は執行費用等の額を定める裁判所書記官の処分、執行証書(執行認諾文言付公正証書)、確定した執行判決のある外国裁判所の判決、確定した執行決定のある仲裁判断、確定判決と同一の効力を有するもの(和解調書、認諾調書等)があります(民事執行法第22条)。
    これらの債務名義のない場合には、差押えはできませんが、相手方から資産が流出することを予防する仮差押えができる場合があります。仮差押には債務名義が要りませんが、実際に回収するためには、仮差押した後に勝訴の確定判決を得るなど、債務名義が必要になります。
  • 債権回収の際の強制執行の対象となるものには、どのようなものがありますか。
    執行の対象となるものは、大きく分けて債権(売掛債権、預貯金債権等)、不動産(土地、建物)、動産があります。これらのうち、金銭債権についてはこれを差し押さえて第三債務者から回収する方法、金銭債権以外のものについては、競売による換価を経て回収する方法が基本になります。特許権のような知的財産権や、会社の株式も強制執行の対象とすることが可能ですが、その特殊性から執行方法については個別に検討する必要があります。例えば株式については、株券発行の有無、債務者による占有の有無、保振制度による振替決済に係るか否かなどにより、手続が異なります。
  • 支払督促手続の内容と流れを教えてください。
    (1) まず、支払督促の申立てを、相手住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官宛に行います。
    (2) これを受けて、裁判所書記官は、債務者に対して支払督促の送達を行います。
    (3) (2)の送達から2週間以内に督促異議の申立てがなされないときは、債権者の申立てにより、裁判所書記官は仮執行宣言を行い、これを記載した支払督促を当事者に送達します。この仮執行宣言の申立ては、(2)の送達から30日以内に行わなければなりません。
    (4) 仮執行宣言を付した支払督促の送達から2週間の不変期間を経過したときは、債務者は督促異議の申立てをすることができなくなり、支払督促は確定判決と同一の効力を有することとなります。
  • 少額訴訟とはどのような手続ですか。
    少額訴訟とは、簡易裁判所において行う、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えの手続です(民事訴訟法第368条第1項)。小規模の紛争を簡易迅速に解決するための制度で、利用回数の制限(民事訴訟法第368条第1項但書)、反訴の禁止(民事訴訟法第369条)、原則として1回の期日での結審(民事訴訟法第370条第1項)、証拠提出方法・提出時期の制限(民事訴訟法第370条第2項、第371条)、結審直後の判決言渡し(民事訴訟法第374条第1項)、控訴の禁止(民事訴訟法第377条)などの制限があります。
  • 少額訴訟はどのような時に役に立つのでしょうか。
    少額訴訟の特徴は、簡易・迅速な債務名義の取得方法という点にありますが、同じように簡易・迅速な債務名義の取得のための手続としては、支払督促手続や、執行認諾文言付公正証書による債務名義の取得といった方法があります。
    このうち、執行認諾文言付公正証書による方法は、訴訟手続が不要であるという意味で、簡易・迅速な債務名義の取得方法ですが、予め相手方当事者の協力が必要である点から、常にこの方法で債務名義を取得することができるとは限りません。支払督促手続も通常の訴訟手続に比べて簡易・迅速な債務名義の取得方法ですが、債務者からの異議のある場合、通常訴訟に移行してしまいます。
    少額訴訟は、裁判所に申立てを行う訴訟手続ですが、反訴の禁止(民事訴訟法第369条)、原則1回結審(民事訴訟法第370条第1項)、証拠提出方法・提出時期の制限(民事訴訟法第370条第2項、第371条)、結審直後の判決言渡し(民事訴訟法第374条第1項)、控訴の禁止(民事訴訟法第377条)などの制限があり、通常訴訟と比べると、簡易・迅速に債務名義を取得することができます。
    したがって、簡易かつ迅速に決着をつけたい場合において、相手方が請求原因事実を争う可能性があり、証拠が十分に揃っているときには、少額訴訟手続が最も適していると考えます。
  • 売掛金を支払ってくれない取引先が破産しそうだとの噂があります。他にも債権者がいるようですが、どのようにしたら優先的に債権の回収ができるでしょうか。
    法的な倒産手続きに入ってしまうと、別除権の行使として認められる担保の実行等による他は、売掛金は一般の破産債権として処理されてしまうため、他の債権者に優先して回収することはできません。そのような状況で強引に回収した場合には、破産管財人によって、否認権を行使されてしまうこともあります。したがって、注意の必要な取引先との取引では、質権や抵当権を設定したり、連帯保証人を用意させたりして、事前に対応した方がよいことになります。また、反対債権があるならこれと相殺するなどして回収する方法も考えられます。
  • 取引先の会社が売掛金を支払ってくれないので、社長の財産から払ってもらいたいのですけど、できるでしょうか。
    取引先の社長が当該売掛金債務を個人的に保証していなければ、社長には支払義務はありません。但し、交渉により、社長が個人的に支払うことに同意すれば、もちろん、支払ってもらうことはできます。
    また、取締役の職務執行につき悪意又は重大な過失があったときは、その取締役は、第三者に対して、損害を賠償する責任を負います(会社法第429条第1項)。実務上、会社が倒産して会社からは回収できないときに、取締役の責任を追及する方法として取締役のこの責任を追及することも考えられます。例えば、支払える見込みのない手形を振り出したり、粉飾決算をしていたような場合などです。
  • 破産手続における破産債権、優先的破産債権、劣後的破産債権とはどのようなものですか。
    破産債権とは、破産者に対し、破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって、財団債権に該当しないものをいいます(破産法第2条第5項)。これは、破産手続の中で、債権を届け出て破産財団から弁済を受けることのできる債権です。破産手続開始後の利息の請求権など、同法第97条各号に列挙される債権も含まれます。
    この内、優先的破産債権とは、破産財団に属する財産につき一般の先取特権その他一般の優先権がある破産債権で(同法第98条第1項)、共益費用や労働債権がこれに該当します。劣後的破産債権には、同法第99条第1項各号に定めるものと、同条第2項に規定のある破産手続開始前に当事者間で破産手続における配当の順位が劣後的破産債権に遅れる旨の合意がされた債権(約定劣後破産債権)の2つがあります。前者は破産手続開始後の利息、延滞税、利子税及び延滞金などがその例です。優先的破産債権及び劣後的破産債権以外の破産債権を普通破産債権と呼ぶこともあります。
  • 債権回収を確実にするために、契約締結段階でできることはないでしょうか。
    取引を行う際に、取引先会社とは別人格の法人や個人の連帯保証を取り付けたり、抵当権や質権などの担保を設定することにより、債権回収の確実性を高めることができます。もちろん、事前の信用調査もできればした方が良いです。
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